個人アーカイブス・仕事編 このホームページは、個人アーカ
イブスの構築を目指しておりますが、これまで主として、
仕事に直接関係のないものだけを収録してきました。しかし、プライベートのものだけでは片手落ちなので、これから順次仕事がらみで執筆したもの・インタ
ビューを受けたものなどをも掲載し
ていくことに しました。
(2005年1月20日) |
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目次
2.新聞報道:
3.国家公務員時代の人物評へ:ここをクリック 1.原稿 |
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| (通産省公報四国版) 昭和55年1月5日 (土曜日) |
四国通商産業局商 工部長 阿部毅一郎 明けましておめでとうございます。 昨年9月に高松に赴任して参りまして、四国で迎える初めての初春のこととて、非常に新鮮な感じのする正月であります。新鮮といえば、今年が1980年代の 幕開けの年であることも手伝っているのかもしれません。いよいよ80年代の到来、何となく身の引き締まる思いが致します。「不確実性の時代」「不透明な時 代」といわれる80年代のこととて、この80年代に一体何が待っているか簡単に予測することは出来ませんが、イラン政変に端を発した国際石油情勢の先行き 不安や、OPECの石油価格引き上げによるエネルギーの供給面における不安定要因の増大、最近の円安傾向の急速な進行、卸売り物価の高騰等々、昨年来の我 が国経済 を取り巻く環境は厳しく、80年代もまたこのような厳しい状況が継続すると想像するに難くありません。 しかし考えてみますと、70年代とてそれほど見通しの明るかった時代でもなければ、環境が厳しくなかったはずもなく、ニクソンショック、オイルショッ ク、長期不況、円高等々予測せざる深刻な事態に我が国経済は幾度か逢着し、その都度、持ち前の機動力と活力をもって、それらの試練を乗り越え、今や有数の 経済大国として揺るぎない地位を築くまでになったわけであります。 このように考えますと、よしんば80年代がいかなる時代になるにせよ、我が国民の英知を結集すれば、何とか乗り切れるはずであると考えられるわけであり ますし、そのように我々自身が自信を持つことがまず大切なのではないかと思われます。 わずか3年間ばかりでしたが、わたしも外国で生活した経験がありまして、その際他の国々の有様を色々と見て参りましたが、現在の我が国の生活レベルは、 資源小国であるにもかかわらず物質的な豊かさという点では、他の先進諸 国に比べても、決して引けを取らぬところまで来ておりまし、世界の多くの後進国にとっては夢のようなレベルにまで達しております。従いまして、これからの 80年代は、このような物質的な豊かさの上に立って、生活の質的な面の充実を図るべき時代なのではないかという気が致します。 そこで四国のことを考えてみますと、東京などの大都会に比べ生活の質的な面 ではいろいろと優っている点が多いように思われます。それは、美しい自然環境やうるおいのある人情味がまだ残っているというような点であります。1人当た りの国民所得で比較して四国は他の地域より後進地域であるとの表現を使いがちですが、このような金に換算し得ぬ 自然環境、人情味、生活空間の豊かさを加味 して考えれば、どちらが先進とも後進ともにわかに断定できないのではないかと思います。経済の発展は自然環境の保全や豊かな人情味、うるおいのある生活と 調和してこそはじめて真の経済発展といえるとの認識に立てば、現在の四国が今 直ちに先進地域であるとはいえないまでも、今後このようなすぐれた質的な面の一層の充実を図りつつ、質的、物的に調和のとれた経済の発展を図るならば、間 違いなく四国こそ日本の先進地域になりうる可能性を最も多く秘めた地域と申すことさえ出来ましょう。 以上申し述べたような形での、調和のとれた地域経済社会の発展と充実があってこそ、国全体の繁栄がもたらされるとの認識が最近急速に広まりつつあります が、私共もそのような認識に立って色々な角度から施策を実施していくつもりでおります。いわゆる中小企業施策の多くは、地域に密着した形で存立する中小企 業の振興を通じて地域の振興を図ろうとするものでありますが、特に昨年6月に成立した「産地中小企業対策臨時措置法」に基づく産地中小企業の振興や「特定 不況地域中小企業対策臨時措置法」に基づく特定不況地域における中小企業の助成は、上述のような認識をより前面 に押し出した施策であります。今後はこれらの施策の充実を図るとともに、地域により密着し、雇用機会の確保、地域文化の振興等の観点から重要な役割を果た している地場産業の総合的な振興にも取り組むことと致しております。 その他、通産省におきましては。資源エネルギー対策、技術開発、産業立地対策、公害保安対策、消費者行政、大型小売店の調整、第三次産業の振興、物価対 策等々種種の施策を実施しておりますが、これらにつきましても中長期的な展望 に立って、より地域に密着した形でのきめの細かい行政を推進し、四国経済社会の均衡ある発展のためにお役に立ちたいと考えております。 この80年代にも色々の試練が待ち構えていることとは存じますが、以上申し述べましたような観点から、調和のとれた四国経済の発展のため、ひいては真に うるおいのある生活の実現のため、私どもも全力を傾けるつもりでおりますので、皆様方の御理解と、ご支援とをお願い申し上げます。 最後になりましたが本年の皆様方の一層の御健康と御活躍を心から祈念致しまして、新年の御挨拶と致します。 |
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| (通産省公報四国版) 昭和56年1月5日 (月曜日) |
四国通商産業局商工部長 阿部毅一郎 明けましておめでとうございます。 昨年は、80年代の幕開けの年でありましたが、「激動の時代」「不確実性の時代」といわれる80年代の幕開けにまことににつかわしい年でありました。思 い つくままに大きな事件を拾い上げてみましても、国内的には、地元香川県が生んだ現職の大平首相の急死、突然の衆議院解散と衆参同時選挙における自民党の圧 勝、鈴木内閣の誕生等、国外的には、一昨年末のソ連のアフガン侵攻に対する米国等の報復措置やモスクワオリンピックのボイコット、イラン・イラク戦争の勃 発、ポーランドの政変とそれをめぐる国際緊張の高まり等、それこそ枚挙にいとまがないほどです。それにもかかわらず、こうして静かに81年の新年を迎える ことができましたことは、何よりもおめでたいと申さなければなりません。 この中で仮に、イラン・イラク戦争ひとつ取り上げてみましても、へたをすると今頃日本国中が、てんやわんやの大騒ぎになっていたかも知れないほどの大事 件であります。我が国の輸入原油の20%近く(54年)を依存していた両国が戦争に突入したにもかかわらず、円は暴落するどころか逆に円高傾向を示し、国 内の石油製品の不足状況も起こらず、パニックが生ずるでもなく、いわば平穏に近い情態で推移しておりますことは誠に有難いことで、これも第1次オイル ショック後その教訓を生かして、石油備蓄増強に官民あげて取り組み、百日分を越える備蓄があったお陰であります。いわば「備えあれば憂いなし」の故知が現 在に活か された好例と申せましょう。 しかし、これは逆に言えば、何事につけても備えなければ憂いありということでありまして、このように不透明で不確実な世の中のこととて、事が起こった後 で憂えずにすむように、常々身の回りの総点検をし、備えるべきところに備える心掛けが一段と強く要請されているとも言えるわけであります。 昨年の景気を振り返ってみますと、1〜3月期までは、かなり順調でしたが、4〜6月期から個人消費支出に伸び悩みが見え始め、それにつれて景気にかげり 現象が生じ、年の後半にかけてそのかげりが一段と影を濃くしてきた観があります。第一次オイルショック後の長い不況を脱してやっと景気が良くなったと思っ たらすぐさまかげりかというのが、産業界の方々のいつわらざる気持かと存じますが、これはいわば安定成長時代といわれる80年代を如実に象徴する現象のよ うにも思われます。今後は、かつてのような沸き立つ如き好景気は期待できず、 いわばこのような一進一退の景気模様が常態化するものと考えられます。 従って、これからは常にこのような事態を前提として、企業経営に取り組むことが求められていると申せましょう。我が国は、既に世界第3位の経済力を持つ に至っておりますので、世界経済全体の成長が減速している今日、我が国だけがひとりむやみに成長を速めることは、諸外国にとっては迷惑となることが十分考 えられるわけであります。 現在の我が国の経済成長も海外要因(輸出の増大と輸入の減少)に依存している面が多いのですが、これが米国やEC諸国との貿易インバランスをもたらし、 経済摩擦の温床となっていることは皆様御承知のとおりであります。従って今後は、海外にあまり大幅に依存する形での経済成長は望むべくもありません。行き 過ぎた依存は、各国の保護貿易主義を招来し我が国にとって生命線ともいうべき自由貿易体制にひびを入れることになりかねないからであります。 政府におきましても、激しい経済環境の変化に対応しうる経済社会を形成するとの観点に 立って色々な角度から施策を実施していくつもりでおります。中小企業対策としましては、活力ある多数としての中小企業の育成を図るとの観点から、ソフトな 経済資源の充実に従来にも増して力を入れるとともに、多様な雇用機会の確保の観点から地域における活発な経済活動を促し、地域の自主的な構想に基づく魅力 ある地域経済社会の形成のため、産地中小企業の振興や地場産業の総合的振興を一段と強化することとしております。 その他、通産省におきましては、相互依存時代の協調的対外政策、資源エネルギー対策、 技術開発施策、産業構造の知識集約化対策、公害保安行政、消費者行政、物価対策等々多面 的な施策を展開し、不確実で激動の時代といわれる80年代に備え、 憂えなきを期すため、全力を傾注するつもりでおりますので、皆様方の温かいご理解とご支援とをお願い申し上げます。 最後になりましたが、本年の皆様方の一層の御健勝と御活躍とを心からお祈りいたしまし て、新年の御挨拶と致します。 |
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経済審議会長期展望委員会 国際経済小委員報告 |
下に掲載するのは、経済審議会長期展望委員会 国際経済小委員(委員長:佐伯喜一)報告「世界経済、多極安定への道標」 (1982.4.12)の「はじめに」と「む すび」の部分である。当時、経済企画庁総合計画局計画官(国際経済関係担当)として、同報告書のとりまとめに当たり、当該部分は自ら執筆したもの である。 開催回数は、国際経済小委員会8回、その下に設けた起草委員会4回、貿易ワーキング・グループ8回、国際金融ワーキング・グループ7回、経済協力ワーキ ング・グループ8回、以上合計35回に上り、毎回、きわめて活発な議論・審議が展開された。他の小委員会の運営とは、全くやり方を変え、「国際経済」とい う広範な対象の中から、なにを展望し何を議論するかについて、委員には毎回アンケートをお願いしたし、また、委員一人一人に得意とされる分野から、テーマ を選択のうえ論文執筆をお願いし、それを踏まえて議論をしていただいたので、議論が常に白熱し、その結果、開催回数も、これほど多くなったのである。事務 局として、対応するのは大変であったが、今、思い出すと懐かしい。それらの論文は、「ど う変わるシリーズ」と銘打って、通商産業調査会から4冊の本として後刻出版した。 (掲載日:2006年5月14日) |
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経済審議会長期展望委員会 国際経済小委員報告 |
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「世界経済、多極安定へ
の道標」
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はじめに
ーー長期展望に当たっての基本認識と本報告の構成についてーー
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(1)1970年代は、固定相場制度の崩壊と二度の石油危機による世界的なインフレーションの10年であり、混乱と模索の10年であった。現在の国際経済 体制は、貿易面、国際金融面、南北協力面等どの面をとっても、世界経済の諸問題を解決するのに十分な枠組みを提供しているとはいえず、大きな試練に直面し ている。21世紀に向けて世界経済の安定した発展を図るためには、新しい国際経済体制を構築するとともに、自由な経済交流を基礎とし、動態的な国際分業を 進める新たなルールが確立されなくてはならない。 我が国経済は、戦後の世界経済秩序の軸となったIMF・GATT体制の下で高度成長を遂げ、今日では、世界のGNPの一割を占めるに至った。また、二度 にわたる石油危機に優れた適応力を発揮し、機械工業製品を中心として強い国際競争力を維持している。世界経済において、このように大きな比重を占める我が 国は、自由貿易体制の最大の受益者であることを自覚し、世界経済を与件として行動する立場から脱して、新しい国際経済体制を構築するため、国内システムの 改革・整備を含めて、積極的な役割を果たす必要がある。その正否に世界経済の安定的発展、ひいては我が国経済の長期的発展がかかっているといっても過言で はない。 (2) 今後20年間の国際経済社会と我が国の地位と役割を展望するに当たって、まず最初に、20年という期間の長さをはっきりと認識しておくことが必要 であろう。 本報告に先立ち、20年前にも、同種の展望が行われたが、かなり大胆と思われた同報告の予測も、20年後の今日振り返ってみるとき、相当のズレがあるこ とがわかる。しかも、そこにみられる展望と現実とのズレのうち、国際経済関係におけるズレが、最も著しい。当時、国際経済社会に関する主たる関心は、貿易 部門に集中しており、輸出の拡大が最大の課題と考えられていたのである。つまり、20年前に、おそらく最も大胆に展望された変化以上に、我が国は変化し、 国際経済社会に占める地位と比重とは高まってきているのである。当時、世界のGNPのわずか2.9%(1960年)を占めるに過ぎなかった我が国が、今日 世界の一割を占める経済大国となり、20年前世界貿易の3.6%(1960年)を占めるに過ぎなかった我が国が、今日では、7.3%(1980年)を占め るまでになっている。 20年という期間で考えれば、以上のように大きな変化がありうることを、国民も、政府も認識し、現時点においてみると実現性が乏しく思われることも、こ の期間の長さが、実現性を付与してくれるとの観点から考えてよい問題が多いと思われる。この意味で、あまり現実にとらわれた展望より、むしろ、大胆な展望 が必要であろう。 (3)今後の20年は、世界も日本も、従来とは違った仕方で大きく変化することが予想される。我が国が、本報告に述べるような、様々な国際的役割を果たし ていくためには、それを可能とするような国内システムの改革・整備等、国内的な対応を積極的に推進することが前提条件でなければならない。もし、我が国 が、持前の活力と適応力充分に発揮して、この課題にも的確に応えることができるならば、日本は、他の先進工業国に比べなお相対的に高い成長を続け、現在の 貿易大国から、更に海外投資大国、海外援助大国への道を歩み続けることも十分可能である。また、一人当たりのGNPにおいても世界のトップクラスの座を占 めることも可能であろう。したがって、我が国の今後の役割については、このように世界経済の中で大きな経済力を持つ国であることを認識して、展望する必要 がある。この観点からは、従来のような受動的 、追随的行動は、もはや許されず、常にその時々の日本の経済力と世界経済への影響力並びに依存性とを自覚しつつ、率先して、国際的責務を果たさなければな らないといえる。また、そういう姿勢を確立することによってのみ、自国の国益を確保しうる立場におかれていることを銘記しなければならない。こうした認識 に基づく主導的行動こそが、我が国に寄せられる各国からの期待に的確に応えていく道であり、我が国の国際社会におっける信頼感を高める唯一の道なのであ る。 我が国が、今後世界経済社会の中で主導的役割を果たしうる国家になるためには、国内システムの改革・整備等国内的対応を積極的に推進することが前提条件 であると述べたが、その実現には、国内的に多くの摩擦や困難を伴うのであり、長期的視点にたって、一歩一歩前進を図らなければならない課題が山積している といってよい。この課題を解決することからみれば、20年という期間ですら決して長くない。そして、ここにこそ、20年にわたる長期展望をこの時点で試み なければならない真の必要性が見い出すれよう。 (4) この報告は、以上のような基本認識を踏まえ、経済審議会長期展望員会国際経済小委員会において、21世紀を見通した長期的視点から、国際経済に関 する枢要な問題について展望を試みた結果をとりまとめたものである。 第1部総論においては、第一に長期展望の前提となる戦後の国際経 済体制の変遷について回顧するとともに、今後20年の国際経済社会の見通し及び新しい国際経済体制のあり方を示した。また、国際経済社会の中で今後とも相 対的に経済的比重を増すとみられる我が国が、その経済力に相応しい責務と役割を果たすべきこと、及びその内容について示した。なお、この部分は、第2部以 降の結論部分の要約を兼ねている。 第2部以下の各論においては、まず第2部において、世界経済の円滑 な発展に貢献しうる国際貿易体制のあり方、世界及び日本の貿易構造、海外直接投資のあり方について検討した。 第3部においては、国際通貨、金融体制の安定化の方策と円の国際化 への対応について検討した。 第4部においては、「南北問題」の変貌とそれに対応した援助、貿 易、海外投資等n総合的経済協力のあり方について検討した。以上の各部においては、これらの検討項目についての長期的展望を示すとともに、我が国の果たす べき役割について、具体的に示した。 最後のむすびに おいては、この報告の結論部分として、国民も政府も新しい決意のもとに、21世紀に向けて、世界経済に貢献しうる開かれた経済と社会の形成を目指して、ス タートを切るべき、今が、その時であることを述べた。 |
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ーー世界経済の繁栄に貢献しうる開かれた経済と社会の形成を目指してーー
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経済審議会長期展望委員会 国際経済小委員報告 |
(1)これまで展望してきたように、長期的にみても今後の我が国を取り巻く国際環境は依然として厳しく、貿易面、国際金融面、経済協力面のいずれをとって も、我が国に対して厳しい対応を迫る難問が山積している。これらの問題に対する我が国の対応如何によっては、更に問題が深刻化し、我が国の前途に暗雲がた ちこめるおそれなしとしない。そして、それはまた世界の平和と繁栄にとってもマイナスの影響を与えずにおかず、悪循環に陥りかねない要素を秘めている。し かも、これらの山積する難題に対応するための我が国の政治・経済・文化・教育等広範にわたる国内システムをみると、的確な対応が可能なほど十分整備されて いるとはいえず、国民の意識の面でも、問題の重大性に対する基本的認識が十分とはいえない。 (2)我が国が、まず基本的に認識する必要があるのは、貿易立国を旨とする我が国の存立・発展は、世界の平和と繁栄とに依存しているということである。戦 後の世界的な平和と繁栄という極めて恵まれた環境の中で我が国は発展してきたのであり、経済発展の基礎ともいうべき資源エネルギーのほとんどを海外に依存 するという資源小国でありながら、自由世界第二位の経済大国を形成し、国民の生活水準も世界のトップクラスにまで引き上げることが可能だったのである。 このような基本認識に立てば、世界の平和と繁栄のために、我が国がその経済力に相応しい責任と役割を自覚し、あらゆる面において積極的に貢献していくこ との重要性が理解できよう。また、そのためには積極的に様々な費用負担を引き受けなければならないことについても十分認識することができよう。 (3)貿易面については、戦後の世界の平和と繁栄を支えてきた自由貿易体制を維持することが、今後とも、我が国にとって生命線であるとの認識が必要となろ う。その意味で、この体制の維持発展のため、我が国が最大限の努力を傾けるべき立場にあるということができる。保護貿易的傾向が顕在化し、自由貿易体制が 危機にさらされているとき、我が国が、より一層の市場開放、産業調整等に、他国に率先して、積極的に当たらなければならない理由は、ここに求められる。今 後の市場開放においては、商品に対するものだけでなく、今後の経済活動のなかでますます重要性を増す投資、金融、保険、サービス面等をも含むものであるこ とを忘れてはならない。自由貿易体制の維持は、先進工業国にとってのみならず、これから成長期を迎える多くの発展途上国にとっても、極めて重要な意義をも つものであることを銘記すべきであろう。 (4)世界経済の平和と繁栄に貢献するという観点から、発展途上国に対する経済協力は、他の何ものにもまして重要である。発展途上国の低迷、疲弊が世界の 平和と繁栄にとって極めて大きなマイナスの要因となりうることを忘れてはならない。経済協力に当っては、@人道的考慮、A世界経済の調和ある発展への貢 献、B総合安全保障とのかかわり等を考慮してなされるべきであるが、我が国の場合、他の先進工業国と比べ貿易相手国として発展途上国の占めるウエイトが格 段に高いことを十分認識し、発展途上国の発展なくしては、我が国の発展はありえないとの基本的認識に立って、率先して、経済協力を行うべきであろう。その ため、我が国は21世紀に向けて、被援助国のニーズや発展段階を十分見極め、それに適合した形での民間経済協力や政府間開発援助を飛躍的に拡充すべきであ る。また、発展途上国の輸出の安定的拡大に積極的に貢献することが極めて有効な経済協力であるとの観点に立ち、我が国は安定的な国内経済運営を図り、より 一層の市場開放、積極的な産業調整等を推進すべきである。また援助の増大に伴って、その効果的な実施が一層必要となるが、そのため、機能的な国内システム の構築、人材の養成等が極めて重要である。 (5)世界経済の拡大的発展や我が国自体の経済の発展に伴い、今後資本需要は更に増大していくものと考えられるが、そのような事態に対応するため、円の国 際化や国内金融市場の自由化を図る等国際的な資金資本移動の円滑化のために積極的な役割を果たすことも必要である。 (6)今後の我が国にとって、真に重要なのは、以上のような様々な国際的要請に対して、これまでのような受動的対応をやめ、積極的に対応するということで ある。そのためには、現在の国内システムでは十分対応できないことを自覚し、長期的視野に立って、これらの問題に柔軟かつ的確に対応しうるシステムへの改 革・整備に乗り出さなければならない。また政策の決定や運営に当たり、過度の国内優先に陥ることなく、国内外の均衡を常に考慮することとし、対外経済政 策の整合性を高めていく努力が払われなければならない。その際、国際社会を構成する一員としての自覚に立つことが何よりも肝要であろう。 また、国民のレベルにおいても、国際社会の一員であるとの自覚をもって行動することが今後は必要となってくるのであって、そのための意識の変革が求めら れよう。しかし、国民の多くにとって、いまだ国際的問題は直接的な関係のない問題としてしか認識されておらず、日常的なレベルで、国際的対応の重要性を認 識しうるような経験をもつ機会は極めて限定されている。そのような意味からも、単に経済面だけではなく、文化面、社会面においても開放性を高め、人的な面 をも含めて国際的交流が活発化するよう努めていく必要がある。これが我が国が今後基調とすべき、国際協調につながる一つの道である。政府においては、国際 的な対応のために、国民も政府も、多少の犠牲は強いられること、しかし、大局的にはそれが我が国の利益につながることについての認識を高めるための普段 の努力を払う必要がある。それなくしては、我が国が求められている国際的責務を果たしていくことに対する国民の理解と支援とを期待するわけにはいかないこ とを忘れてはならない。また、国民及び政府が、国際的責任を自覚する一つの体験の場として、我が国と地理的にも近く、歴史的な関連性も深い太平洋地域諸国 の経済的発展のため、国民と政府とが一体となって協力するというビジョンを政策の基盤にすえ、今後あらゆる機会を通じてそのてめの協力を惜しまないことが 考えられよう。 (7)国際的対応のために要請される国内システムの改革・整備や国民の意識改革のため、今後20年間、国内社会は、これまで経験したことのないほどの質的 な変化を求められているといってもよい。このような要請に的確に対応できなければ、日本の前途は決して楽観できない。 しかし、変化のない社会に発展はなく、活力のない社会に進歩はない。 今日このような質的変化を遂げることによってのみ、日本の発展も可能なのであり、国際的にも信頼される国家の形成が可能となるのである。これからの20 年間は、このような意味で、日本及び日本人にとって、一つの正念場とみることができる。 本来、活力に富み、適応力に富む日本人は、これまでも、様々な困難に対し、的確に対応して、今日の経済大国の形成に成功してきたのである。日本人が持ち 前の、そのような能力を十分発揮すれば、このような変化にも十分対応できるはずである。 このような変化の過程において、国及び国民のレベルにおいて、様々の軋轢が生じ、場合によってはかなりの犠牲を払うことが求められようが、犠牲を拒否 し、現在の繁栄の中に閉じこもろうとすれば、日本の前途は決して明るいものとはならないことを銘記しなければならない。21世紀に向けて、世界経済の繁栄 に貢献しる開かれた経済と社会の形成をめざして、国民も政府も、新しい決意のもとにスタートをきるべき、今は、その時である。 (以上、2006年5月14日掲載) |
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工業技術 vol.26 (1985年1月号) 編集・発行:通産省工業技術院 |
国際研究協力とジャパントラスト事業 (執筆 1984年12月、掲載日 2005.2.2 ) 通商産業省 工業技術院研究協力統括官 阿部毅一郎
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(備忘のため、適宜、以下に予めタイトルのみを収録していくこととし、後刻改めて本文を掲載する予定。2005.1.20)
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掲載誌紙
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タイトル
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執筆時部署名
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| 通産省公報四国版 昭和55年1月5日 (1980.1) (土曜日) |
四国経済産業局商工部長 | |
| 通産省公報四国版 昭和56年1月5日 (1981.1) (月曜日) |
「新 春を迎えて」(2005.1.20収録) | 四国経済産業局商工部長 |
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四経連会報No.210 (1981年1月) |
「日本式経営の中の企業と個 人」 (1980.12.17第43回サイエンスクラブ例会での講演の要約) |
四国経済産業局商工部長 |
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金融財政(時事通信社発行) (1982年・昭和57年5月27日号)p.11~14 |
経済審議会の日本経済社会長期展望 「開かれた経済と社会の形成」 長期展望委員会国際経済小委員会報告 |
経済企画庁 |
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週刊財経詳報 (1982年昭和57年5月24日号)p.9~13 |
西暦2000年の展望 「開かれた経済と社会の形成をめざして」 |
経済企画庁 総合計画局 計画官(国際経済関係担当) |
| ロボット No.44 (1984年8月) 編集・発行:(社)日本産業用ロボット工業会)p.3 |
巻頭言 「国際研究協力とジャパントラスト 構想」 International Cooperation on Research and Japan Trust Conception |
通商産業省 工業技術院 研究協力統括官 |
| 工業技術 vol.26 (1985年1月号) 編集・発行:通産省工業技術院 |
国際研究協力とジャパントラスト事業
(2005.2.24掲載) (特集「国際研究協力」のイントロ) |
通商産業省 工業技術院 研究協力統括官 |
| 通産ジャーナル (1985年9月号) |
ジャパン・トラスト(2006.5.9掲載) |
通商産業省 工業技術院 研究協力統括官 |
| 週刊東洋経済 (1986年1月11日号) p.74~78) |
世界をリードする日本の技術3 「最優先したい”一丁目一番地政 策”」 (2006.5.9掲載開始) |
通商産業省 大臣官房 調査統計部 統計解析課長 |
| 中小企業白書(昭和53年版) 1979年5月 |
「変わりゆく時代への活力ある対応」 |
通産省 中小企業庁 調査課長 |