引用句・語録の部屋
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事項目次(2009/11/9,11/11,12/7,2010/6/28掲載)

 年金生活(ジョージ・オーウェル)2010/6/28  作品(ジョージ・ギッシング)2010/6/28    
 読書(長田弘)
 ユダヤ人(エリック・ホッファー)
 弱者(エリック・ホッファー)
 散歩(井伏鱒二)
 禅(司馬遼太郎)  表札(石垣りん)  人まね(えどみちお)  成熟(ねじめ正一)
 睡眠(井上昌次郎)  独楽吟(橘曙覧)(2009/11/11)  歌手(藤村実穂子)(2009/12/7) 迷子(ジョン・スタインベック)(2010/1/18)
発酵(ジョン・スタインベック )  時間(アーノルド・ベネット )(2010/6/28)

 生活の調整(アーノルド・ベネット) 好奇心(アーノルド・ベネット) 
 ア行  カ行  サ行  タ行 ナ行   ハ行  マ行  ヤ行  ラ行  ワ行
   歌手  作品   読書  年金生活  発酵  迷子  ユダヤ人    
   好奇心  散歩  独楽吟    人まね        
     時間      表札        
     弱者              
     睡眠              
     生活の調整              
     成熟              
     禅              

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採録日 タイトル ふりがな 本文 筆者名 出典名 キーワード
   6/28/2010  時間   じかん  [時間は実に不思議な貴重品である。そして、それ自体の不思議さもさることながら、その与えられ方も不思議といえば実に不思議である。考えてみてほしい。誰も時間をあなたから取り上げることはできないし、盗むこともできない。そして、あなたより多く与えられている者も少なく与えられている者もいないのだ。.」(同上p.30)

 アーノルド・ベネット   「自分の時間」アーノルド・ベネット 三笠書房p.30  
    6/28/2010  生活の調整   せいかつのちょうせい  [二十四時間という与えられた時間の中で、充実した快適な一日を過ごせるように生活を調整する際に心得ておくべき最も重要なことは、そうすることがいかに至難のわざであるか、そのためいかに多くの犠牲を払い、倦まずたゆまず努力をしつづけなければならないかを、冷静に悟ることである。このことは声を大にして強調しておきたい。」
 アーノルド・ベネット   (同上p.46)  
    6/28/2010  好奇心   こうきしん  「美術や音楽や文学に打ち込まなくとも、本当に充実した生活を送ることはできるのである。人生とはすなわち好奇心であり、この好奇心を満たすものは日常の習慣や生活の場にあふれている。そして、好奇心を満たすということは、もののわかる心をもつということにほかならない。」
 アーノルド・ベネット   ((同上p.115))  もののわかる心
    6/28/2010  年金生活   ねんきんせいかつ  「彼(ジョージ・オーウェル)がそもそも警察官(インド帝国警官)を職業として選んだ理由というのが面白い。他の職業に比べて早く退職を認められるから、というのである。彼は退職後の人生設計を考えて、というよりもそのために職業選択を考えたのであった。…これ(公務員試験)に合格したオーウェルはインドに赴任し、計画通り四十歳で退職し、死ぬまで年金を受け取ることができた。そういう安定した年金生活の保障のもとで、彼は小説や評論を書くことができたのであった。p.14  (木原武一)  「まことに残念ですが…」アンドレ・バーナード 徳間書房1994  退職、人生設計、
    6/28/2010  作品   さくひん ジョージ・ギッシング「ヘンリ・ライクラフトの手記」から、「私の人生は、子供時j代のもの思うことなき天真爛漫な幸福感に始まり、いまや深い思いを静かにひめた円熟した心境のうちに終ろうとしている。私の作品は欠点だらけであったかもしれない。しかし、私は真剣に努力したのだ。最後のときには私自身についてもそうありたいと思う。私は自分の生涯を着実に完成された長い一篇の作品ーー欠点は多いかもしれぬが、自己の最善を尽くした伝記として眺めることができたらよいと思う」(平井正穗訳)p.78 ジョージ・ギッシング「ヘンリ・ライクラフトの手記」 (木原武一)   「まことに残念ですが…」アンドレ・バーナード 徳間書房1994  伝記

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10/22/2009

読書

どくしょ

  読み方によって生き生きとしてくるのも、つまらなくなるのも読書だ。読みとおすのでなく、読みさす。読み切るのでなく、読み余す。読みぬくのでなく、読み 継ぐ。読み解くのでなく、読みとどめる。そうして、開いたまま本を伏せて、あるいは閉じて積んで、自分の日々のかたわらに置く。

  そういう本のあり方、読み方をおのずからもとめる本があり、本というもっとも古い人間の文化のありようをもっともよく伝えてきたのは、そうしたけっして読み飛ばさせないような本の記憶だったと思う。

 …中断を楽しむことのできる本は間違いなくいい本だということだった。モンテーニュやゲルツェンを読む。それは中断を楽しみとして読むことだった。
 
…詞華集というのは、日々かたわらに置くべき本のかたちの、悦ばしい発明だった。

   読書というのは、本を読むというだけのことではないのだ。本を自分の日々のなかに置いて、自分にとって必要な本の置き場所をつくる。そういう日々のあり 方をすすんでもちこたえてゆくというのが読書なのだ。いつの世にも読書というのは、その人の人生のスタイルのことなのである。

 読書というものが失ってはいけないものが、『読書』(黒田清輝の作、1891年)という絵にはのこされている。本を読む娘の目を見ればわかる。文字を見つめることは、こんなにも人の眼差しを透明なものに、無私なものにするものなのかというおどろきだった。


 
(注)ゲルツェンを主人公として、ロシア帝政期の革命家群像を描くドラマ、『コースト・オブ・ユートピア』 (ユートピアの岸へ) が、蜷川幸雄氏の演出によって、渋谷の Bunkamura、シアター・コクーンで上演されています。



長田弘(1939~)
2009/10/22朝日新聞夕刊「文化欄」「悦ばしい読書ーー自分の時間で読み継ぐ」
読書、

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10/21/2009 ユダヤ人 ゆだやじん   ユダヤ人が世界で最初の比類のない語り手であったという事実(引用者注「旧約聖書」を指す)、彼らが現在、諸科学や社会事象の理論家として卓越した先駆者 の役割を果たしている原因なのかもしれないと私は思う。真実を構想して未知のものを思い描き、物語を語る能力は、未知のものを探るうえで必要不可欠な才能 だからである。(p.36)


エリック・ホッファー 「エリック・ホッファー自伝」作品社2002/5/6 2008/10/30第14刷 p.36 聖書 ,ユダヤ人、物語、、

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10/21/2009 弱者 じゃくしゃ   人間という種においては、他の生物とは対照的に、弱者が生き残るだけでなく、」時として強者に勝利する。「神は、力あるものを辱めるために、この世の弱き ものを選ばれたり」という聖パウロの尊大な言葉には、さめたリアリズムが存在する。弱者に固有の自己嫌悪は、通常の生存競争よりもはるかに強いエネルギー を放出する。

…弱者が演じる特異な役割こそが、人類に独自性を与えているのだ。われわれは、人間の運命を形作るうえで弱者が支配的な役割 を果たしているといいう事実を、自然的本能や生命に不可欠な衝動からの逸脱としてではなく、むしろ人間が自然から離れ、それを超えていく出発点、つまり退 廃ではなく、創造の新秩序の発生として見なければならないのだ。(p.67)


エリック・ホッファー 「エリック・ホッファー自伝」作品社2002/5/6 2008/10/30第14刷 p.67 自己嫌悪、人間,創造

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10/31/2009 散歩 さんぽ   軽い用使いなどする他には散歩をするのがいいと医者も云っている。しかし外見丈夫そうな一家の主人が、村道をぶらぶら歩くわけには行かないのである。この 村(引用者注:小畠村)では昔から散歩をする者などいた話を聞いたことがない。原則として散歩などということは有り得ないのだ。伝統的な風習の上から云っ てそうである。(p.58)

 医者は散歩も大切な日課だと勧めるが、散歩に資本を投ずることは出来ないから散歩は浅薄な振舞いだとされてしまう。往還ばたでの立ち話や辻堂での昼寝は資本を食わないが、これは何百年または何千年もの伝統を持つ風習だから不問に附されている。(p.60)


井伏鱒二 「黒い雨」井伏鱒二 現代日本文学大系65 筑摩書房 1970/8/5 所載p.58,60  風習、伝統、日本文化
(補足)日本に散歩という風習がなかったことが、これで推測できる。

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11/1/2009 禅 ぜん  私は昭和二十年代、京都で禅のえらい人にたくさん会いました。結局、うどん屋の出前持ちを二十年やっている人に及ばないというのが感想でした。
(1995年)


司馬遼太郎 「みどり夫人の「追悼の司馬遼太郎」夕刊フジ産経新聞社編 産経新聞社 1997/1/30 p.184

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11/1/2009 表札 ひょうさつ 自分の住むところには
自分で表札を出すにかぎる。

自分の寝泊まりする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。

病院に入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様が付いた。

旅館に泊まっても
部屋の外には名前は出ないが
やがて焼場の鑵にはいると
とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私はこばめるか?

様も
殿も
付いてはいけない

自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る。

精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい。


石垣りん 「表札など」石垣りん
「ぼくらの言葉塾」ねじめ正一 岩波新書 200910/2028

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10/28/2009 人まね ひとまね  世の中に生きるものすべて、たった一つの存在です。そのものであるということ。それだけでありがたく、うれしく、尊いことです。

…生きていると必ず、毎日、新しく見つけることがあります。人まねをしないのはもちろん、過去の自分のまねをしていないかいつも確かめながら、飽かずに書き続けていきたいです。


まどみちお 「100才の詩人 まどみちお」東京新聞2009/10/28

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11/6/2009 成熟 せいじゅく  常識と、理屈と、成熟。私はこの三つは子どもの本の敵だと思っています。子どもをいわゆる「いい子」に育てたい大人は、この三つが大好きです。そして彼らが子どもに読ませたいと思う本には、たいてい、この三つのうちどれかが含まれています。

 しかし忘れてはなりません。常識の行き着くところは硬直です。理屈の行き付くところは妥協です。成熟の行き着くところは凡庸です。私は、たましいのやわらかい子どもに、この三つだけは与えたくないと、心底思っています。


ねじめ正一 「ぼくらの言葉塾」ねじめ正一 岩波新書 2009/10/20 p.130 常識、理屈、硬直、妥協、凡庸

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11/8/2009 睡眠 すいみん
 睡眠とは「脳による脳のための管理技術」です。その役割をひとことでいえば、大脳を守り・修復し・よりよく活動させることです。胎児や幼児の時期には、脳を創り・育てる役割もあります。赤ちゃんがよく眠るのは睡眠が脳づくりにだいじな役割を果たしているからです。

 大 脳は、コンピューターのように、いつもおなじレベルで活動をつづけることはできません。大脳は連続運転に最も弱い臓器で、酷使するとオーバーヒートして、 生命管理の機能が衰えます。最高位の中枢である大脳の機能が衰え、誤操作をしやすくなるとどうなるか、自明でありましょう。この臓器をクールダウンさせ て、点検し、ストレスを解消し、疲れを癒して回復させ、さらに、もっとよくはたらかせる、という統合的な機能こそ睡眠なのです。

 それゆえ、睡眠 は大脳のための「休息」である、といいう認識だけではふじゅうぶんです。睡眠は大脳を休息させるばかりでなく、能動的に大脳を「保全」する作業も営んでい ます。大脳の休息を解いて活性化するプロセス、つまり自動的に目覚めさせることも、睡眠のたいせつな作業です。これら一連の作業によって、私たちは睡眠中 に大脳機能を修復し、もっと賢くなれるのです。よりよく眠ることは、とりもなおさず、よりよく生きることですね。

 では、よい眠りとはどんなものでしょうか。答えは簡単です。日常の生活で自分の眠りが気にならなければ、つまり、自分の眠りについて悩みがなければ、それがよい眠りです。

… 残念ながら、万人に共通する規格化された理想的な眠りなんて、存在しません。…ですから、究極のよい眠りを探求するような「むだな努力」はよしたほうが賢 明です。むしろ見方を変えて、まいにちの生活のなかで、眠りをあまり意識しないですむことこそ、理想的だ、と考えたらよいでしょう。つまり、平凡な・あり ふれた・気にならない眠りなら、それこそがよい眠りなのです。


井上昌次郎 「眠る秘訣」井上昌次郎 朝日新書164 2009/3/30 p.27~29 脳、大脳、
   11/10/2009
 独楽吟
 どくらくぎん
 1 たのしみは 艸(くさ)のいほりの 莚(むしろ)敷(し)き ひとりこころを  静めをるとき

2 たのしみは すびつのもとに うち倒(たふ)れ ゆすり起(お)こすも 知らで寝し時

3 たのしみは 珍(めづら)しき書(ふみ) 人にかり 始め一(ひと)ひら ひろげたる時

4 たのしみは 紙(かみ)をひろげて とる筆の 思ひの外(ほか)に 能(よ)くかけし時

5 たのしみは 百日(ももか)ひねれど 成(な)らぬ歌の ふとおもしろく 出(い)できぬる時

6 たのしみは 妻子(めこ)むつまじく うちつどひ 頭(かしら)ならべて 物(もの)をくふ時

7 たのしみは 物をかかせて 善(よ)き価(あたひ) 惜(を)しみげもなく 人のくれし時

8 たのしみは 空暖(あたた)かに うち晴(は)れし 春秋(はるあき)の日に 出(い)でありく時

9 たのしみは 朝おきいでて 昨日(きのふ)まで 無(な)かりし花の 咲ける見る時

10 たのしみは 心にうかぶ はかなごと 思ひつづけて 煙艸(たばこ)すふとき

11 たのしみは 意(こころ)にかなふ 山水(やまみづ(さんすい))の あたりしづかに 見てありくとき

12 たのしみは 尋常(よのつね)ならぬ 書(ふみ)に画(ゑ)に うちひろげつつ 見もてゆく時

13 たのしみは 常(つね)に見なれぬ 鳥の来て 軒(のき)遠からぬ 樹(き)に鳴きしとき

14 たのしみは あき米(こめ)櫃(びつ)に 米いでき 今一月(ひとつき)は よしといふとき

15 たのしみは 物(もの)識人(しりびと)に 稀(まれ)にあひて 古(いに)しへ今を 語りあふとき

16 たのしみは 門売(かどう)りありく 魚買ひて 烹(に)る鐺(なべ)の香(か)を 鼻(はな)に嗅(か)ぐ時

17 たのしみは まれに魚烹(に)て 児(こ)等(ら)皆が うましうましと いひて食(く)ふ時

18 たのしみは そぞろ読みゆく 書(ふみ)の中(うち)に 我とひとしき 人をみし時

19 たのしみは 雪ふるよさり 酒の糟(かす) あぶりて食(く)ひて 火(ひ)にあたる時

20 たのしみは 書(ふみ)よみ倦(う)める をりしもあれ 声(こゑ)知る人の 門(かど)たたく時

21 たのしみは 世に解(と)きがたく する書(ふみ)の 心(こころ)をひとり さとり得(え)し時

22 たのしみは 銭(ぜに)なくなりて わびをるに 人の来たりて 銭くれし時

23 たのしみは 炭(すみ)さしすてて おきし火の 紅(あか)くなりきて 湯の煮(に)ゆる時

24 たのしみは 心(こころ)をおかぬ 友(とも)どちと 笑ひかたりて 腹(はら)をよるとき

25 たのしみは 昼(ひる)寝(ね)せしまに 庭(には)ぬらし ふりたる雨を さめてしる時

26 たのしみは 昼寝目(め)ざむる 枕(まくら)べに ことことと湯の 煮(に)えてある時

27 たのしみは 湯(ゆ)わかしわかし 埋(うづ)み火(び)を 中(うち)にさし置きて 人とかたる時

28 たのしみは とぼしきままに 人集(あつ)め酒飲め物を 食(く)へといふ時

29 たのしみは 客人(まれびと(まらうど))えたる 折(をり)しもあれ 瓢(ひさご)に酒の  ありあへる時

30 たのしみは 家内(やうち(やぬち))五人(いつたり) 五(いつ)たりが 風だにひかで  ありあへる時

31 たのしみは 機(はた)おりたてて 新しき ころもを縫(ぬ)ひて 妻(め)が着する時

32 たのしみは 三人(みたり)の児ども すくすくと 大きくなれる 姿(すがた)みる時

33 たのしみは 人も訪(と)ひこず 事(こと)もなく 心をいれて 書(ふみ)を見る時

34 たのしみは 明日(あす)物(もの)くると いふ占(うら)を 咲(さ)くともし火の 花にみる時

35 たのしみは たのむをよびて 門(かど)あけて 物もて来(き)つる 使(つか)ひえし時

36 たのしみは 木(こ(き))の芽(め)瀹(に)やして 大きなる 饅頭(まんぢゅう)を一つ  ほほばりしとき

37 たのしみは つねに好める 焼豆腐(やきどうふ) うまく烹(に)たてて 食(く)はせけるとき

38 たのしみは 小豆(あづき)の飯(いひ)の 冷(ひ)えたるを 茶(ちゃ)漬(づ)けてふ物に  なしてくふ時

39 たのしみは いやなる人の 来(き)たりしが 長くもをらで かへりけるとき

40 たのしみは 田(た)づらに行きし わらは等(ら)が 耒(すき)鍬(くは)とりて 帰りくる時

41 たのしみは 衾(ふすま)かづきて 物(もの)がたり いひをるうちに 寝(ね)入(い)りたるとき

42 たのしみは わらは墨(すみ)する かたはらに 筆の運(はこ)びを 思ひをる時

43 たのしみは 好(よ)き筆をえて 先(ま)づ水に ひたしねぶりて 試(こころ)みるとき

44 たのしみは 庭(には)にうゑたる 春秋(はるあき)の 花のさかりに あへる時(とき)時(どき)

45 たのしみは ほしかりし物 銭(ぜに)ぶくろ うちかたぶけて かひえたるとき

46 たのしみは 神の御(み)国(くに)の 民(たみ)として 神の教(をし)へを ふかくおもふとき

47 たのしみは 戎夷(えみし)よろこぶ 世の中に 皇国(みくに)忘れぬ 人を見るとき

48 たのしみは 鈴屋(すずのや)大人(うし)の 後(のち)に生まれ その御(み)諭(さと)しを  うくる思ふ時

49 たのしみは 数(かず)ある書(ふみ)を 辛(から)くして うつし竟(を)へつつ とぢて見るとき

50 たのしみは 野(の)寺(でら)山里(やまざと) 日をくらし やどれといはれ やどりけるとき

51 たのしみは 野(の)山(やま)のさとに 人遇(あ)ひて 我(われ)を見しりて あるじするとき

52 たのしみは ふと見てほしく おもふ物 辛(から)くはかりて 手(て)にいれしとき

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 橘曙覧(たちばなあけみ)
 独楽(どくらく)吟(ぎん) 『橘曙覧遺稿志濃夫廼舎歌集』より  橘曙覧の「独楽吟」とは「たのしみは」で始まって「・・・とき」で終わる形式でよんだ和歌のことです。
曙覧の生活や家族の幸せ、学問への態度などがよみ込まれています。
第9首は、クリントン大統領が,天皇をホワイトハウスに迎えたときのスピーチに引用したことで知られている。
橘曙覧は、当時の福井藩主である松平春嶽とも交友があった。
 阿部毅一郎作「たのしみは つねに好める 自転車で 春秋(はるあき)の日に 出で走る時」(第8首、第37首の用語を使って「自転車」普及用に創ったもの)
   2009/12/7  歌手  かしゅ 「私は歌の神様に仕えているだけ。賞賛を受けるために歌っているんじゃない」

「自分の骨を削るような気持ちで歌わねばならないのは、この世界で生きていく新しい骨格をつくるためなのだ、と気づいた。人種や文化の違いを超えた、あなたなりの『核』を見つけなさい。そう歌の神様が教え、学ぶ機会を用意してくれたのだと」

「歌手は、死ぬまで歌い続けてこそ。楽譜を1000回見たら。100回新しい世界を見つける。そんな感性の鋭敏さをどこまで持ち続けることがが勝負」

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自分自身の傾向について

・生きている限り、自分をより良くしたい願う。

・すべての経験を「ありがたい」と思う(困難にぶつかったら、天から「お題」を頂いた、と思う。l軽い風邪をひいたら、天が「休め」と言っているんだ、と思う)

・第三者的に、自分を見る視点を持つ(状況を立体的に把握するように努める。内の声だけを聞いていると自己満足に陥りやすいから)

・いかに死にたいかを、常に考えている(これこそが自分の人生を生きるということ、自分の人生と向き合うということだと思うから)



(補足)新国立劇場で上演されたモーツアルトの「イドメネオ」では、声の細いヒロインとの繊細なバランスを浮き立たせ、モーツアルトのオペラの本質が、個々のアリアの華やかさではなく、人間関係の「あや」の描き方にあると気づかせた。(文:吉田純子)

 藤村実穂子オペラ歌手(メゾソプラノ)  2009/12/7朝日新聞Globe p.8から引用しました。  歌の神様、死,、モーツアルト
  2009/1/16 迷子  まいご  会話を始めるテクニックは全国共通だ。昔から知っていたことを再確認したのだが、誰かの注意や手助けを誘って会話を始めたいなら迷子になることだ。母親が小道で行き倒れているのを見ても邪魔だと蹴飛ばすような男でさえ、道に迷ったと訴えている赤の他人が相手ならいそいそと何時間もかけて道を教えることだろう。たとえそれが間違った道だとしてもである。
 ジョン・スタインベック   「チャーリーとの旅」ジョン・スタインベック ポプラ社2007/3/5 p.19  
   2009/1/16  発酵  はっこう  三十年の作家稼業で、経験したことをすぐには書けないことも分かっていた。発酵が必要なのだ。書く前に、ある友人が言うように「じっくり寝かせ」なくてはならない。そしてこうした自己認識にもかかわらず、私は十巻の大著を記せるほどの執筆道具をロシナンテ号に搭載した。未読の本も五十数キロ積み込んだが--無論、そういう本は持参したところで読みはしないのである。  ジョン・スタインベック  「チャーリーとの旅」ジョン・スタインベック ポプラ社2007/3/5 p.21  
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