(2000年7月14日掲載)

読書の部屋・読後録

アラン・ピース+バーバラ・ピース『話を聞かない男、地図が読めない女』藤井留美訳 主婦の友社2000/4/25第1刷、2000/6/10第3刷
 

 子供を育てるまでは、環境派だった。男も女も、生後の育て方・環境で決まるという当時の主流の学説にすっかり洗脳されていた。ところが、娘と息子を育ててみて、これは違うということに気づいた。別に女の子のように育てようとしなくても、娘は、人形が好きだし、おままごと遊びが好きなのだ。男の子のように育てようとしなくても、息子は、車や乱暴な遊びが好きなのだ。どう考えても先天的な男の要素、女の要素をもって生まれついていると確信したものだ。
 この本には、これでもか、これでもかというほど、男と女が違うことが具体的に書いてあり、やっぱりそうだったのか、と大いに合点が行った。
 「両者に共通しているのは、種が同じということだけ、住んでいる世界もちがえば、価値観もルールもちがう。」(p.17)男と女は異なる進化ををしてきた。何百万年ものあいだ、「男は狩りをし、女は木の実や果物を採った。男は守り、女は育てた。それを続けた結果、両者の身体と脳は、まったく別のものになった。」「男と女では、考え方はもちろん、理解のしかた、優先順位、行動、信念までことごとくちがう。」(p.19)
 こうした思考や行動を決めるのは、「胎児期に作られた脳の配線と、ホルモンの働きである。」(p.21)
 男が車の運転がうまいのは、空間能力が優れているからである。狩猟者である男にはそれが必須の能力だったからだ。だから、地図もよく読める。妻にナビゲーター役を頼み、変なところに連れて行かれてしまったり、地図が良く読めない妻の誘導ぶりにいらいらした経験ならいくらでもある。これが本のタイトルになったのだ。
 ところが、話となると女がうまい。これは、男が話をするときは左の脳しか使っていないうえ、それを専門に担当する部分がないのに(p.83)引き比べて、女は、左脳の前部と、右脳の小さな領域を使っており、左右両方を使っているために、話すのがうまいし、話すのが楽しいからたくさんしゃべる。また発語をコントロールする部分が決まっているので、脳のそれ以外の場所を使って、しゃべりながら同時にいろんなことを進行できる。(p.86)
 男と女は、ちょっとしたホルモンの働きの差で出来上がる。人間の胎児は、女が基本形になっている。受精してから6〜8週間に、男の胎児はアンドロゲンという男性ホルモンを大量に分泌して精巣ができはじめる。次に、女を基本形にした脳にも変化が生じて、男用のフォーマットになる。この時期に男性ホルモンが不足した場合、思春期にゲイになったり、生殖器官は男なのに、脳は完全に女になる。(p.192)
 その意味で、ホモセクシャルは生まれつきなのであって、性的指向を選択しているわけではない。左利き、青い目、赤毛と何等変わらない(p.195)のだから、非難するのは間違っている。
 セックス、性欲、結婚、一夫一婦制、愛、職業、ロマンス、第六感、直観、感情、ショッピング、数学、愛撫、目つき、地獄耳、アドバイス、触れあい、神秘、鈍感、思考、人間関係、仕事、などなど、日頃男女の見解が大きく別れるテーマについて詳述してある。
 これから、男女関係、夫婦関係をスムーズにするためにも、男と女は男脳、女脳という全く異なる脳を持っているのであるから、基本的に違うということを本書で良く学ぶことが必須であろう。妻に地図を読ませるような、不得意なことを無理強いすることなく、相手の得意とするところを持ち上げ、、お互いをいたわり合って行くに越したことはない。
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