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「ハルカ・エイティ」姫野カオルコ 文藝春秋社 2005.10.15 C0093 \1900(1200)E p.469


 朝日新聞の書評欄に「ハルカ・エイティ 」[著] 姫野カオルコの書評が載った。(*)([掲載]2005年11月27日[評者]角田光代)。

 この書評に大いに読書欲を書き立てられ、11月30日に購入して、早速読み始め、今しがた読み終えた(12/3午後11時40分)。469頁の長編であ る。このところの私のペースとしては、速いほうだ。それだけ、面白かったということである。

 主人公小野ハルカは1920年生まれ、私より20年前に生まれた人で、妻の両親と同じ年の生まれである。私の母は1911年生まれだからもう少し年長で あるが、まあ、親の世代に属する人である。

 どんな苦しい境遇にあろうと、いつも何かいい面を見つけ出して、くよくよせず、前向きに生きていく、主人公の爽やかさが魅力的だ。20年遡ると、こんな 時代背景の下で生きることになっていたのか、こんな子供時代、青春時代があったのか、実にうまく描き込んであるので、手に取るように良くわかる。戦後の話 になると、私の幼い時代の記憶と重なり始め、親の世代が当時をどういう風に思っていたのかがよくわかる。主人公を取り巻く人々も、夫の大介、近所の恵美子 さんはじめ、なんか、すぐそばに住んでいる人のように感じられるほど、実在感がある人ばかり。それだけ作者の人物造形が巧みだと言うことだ。

 子供時代から56歳までの生涯が、丁寧に描かれていて、奥行きのある一人の人間の全体像が鮮やかに浮かび上がる。

 著者の当時と200×年とを比較してのコメントが随所に出てきて、なるほどと思わされる。

 わたしは、母に善き人間の原型を見ることが出来たこと、それが私の人間観の基盤になっていると常々思っているのであるが、このハルカさんも、人 間の善き原型として母に通ずるところを持っており、大変魅力がある。実在の人をモデルにしてあるということであるが、会ってみたいと思わせる人である。

 だから、この本を一読すると、心が洗われ、暖まり、元気が出る。
 評者の角田さんも言うとおり、60代、80代のハルカさんも、読みたいものである。


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