最近購入書籍名一覧

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(1999/11/8〜12/17購入分54冊)
著者・編者名 書名 出版社 出版日 コメント 購入日
茂木宏子 お父さんたちの技術が日本を作った! 小学館 1997.3.31 茂木版、メタルカラーの時代。 99.11.8
深江誠子 男と女の経済学 社会評論社 1997.3.31 エロスの経済学 99.11.8
幸田文 木 新潮社 1992.6.15  作者は、三つの理由で草木に心をよせるようになった。環境、住んでいた土地にいくらか、草木があったこと。教え、親がそう仕向けてくれたこと。嫉妬、嫉妬がバネになって、木の姿花の姿が目にしみた。姉がいて、植物のことに詳しく、植物の好きな父のお気に入りだった。その姉への嫉妬が、前の二つにも増して、草木への縁をもつきっかけになった。その姉は早世し、その死を父は残念がったという。
 引き締まった張りのある文章で読ませる。幼いときから心を寄せているものについて書くのだから、ゆとりがある。
99.11.8
マルグリット・デュラス 青い眼、黒い髪 河出書房新社  男と女、彼と彼女、名前のない、青い目と黒い髪をした二人の男女の恋愛。ある夏の宵、海岸の男の部屋が舞台となるだろう。「一度もうまくいったためしのない」男は、ある美しい男に心を奪われている。彼は、姿を消した、その男のことを忘れないため、彼女といっしょにその家に引きこもる。性的交渉のない夜を過ごす契約を結ぶ。ベッドに横たわる二人だけが、スポットライトを浴びて浮かび上がる。
 現在形の短い、即物的な文体で、綴られる、二人の男と女。女はいつしか男を愛するようになり・・・
99.11.8
三浦俊彦 この部屋に友達はいますか? 河出書房新社 1994.2.25 友情エクスタシー 99.11.8
キョウコモリ シズコズドーター 青山出版社 1995.10.5  有紀が、12歳のとき母は自殺する。「母さんがいたら、有紀を邪魔してしまうでしょう。母さんは有紀を愛しています」という遺書を残して。父と、かねてから不倫関係を続けていた職場の秘書が、後妻として乗り込んでくる・・
 きわめて静かな語り口で、自己主張を持った、賢い有紀という娘が成長していく有様が印象的に語られる。心理の襞が、くっきりと見えるようだ。
 原文は、渡米した作者によって英語で書かれ、アメリカでも評判になり、ニューヨーク・タイムズ・ベストブック賞を受賞した。作者は、日本でも出版が決まったとき、日本語への翻訳を拒否したという。自伝的要素の高い作品。
99.11.8
鷺沢萌 少年たちの終わらない夜 河出書房新社 1998.9.29 私にとって鷺沢萌の二冊目。これは初期の作品集。 99.11.8
すが秀実 「超」言葉刈り宣言 太田出版 1994.8.6 差別(表現)批判が、これまで以上に自由かつ闊達に行われることを願って書かれた本。「いわゆる「筒井康隆問題」を契機として、「差別表現」をすることもまた「表現の自由」にほかならないといった愚劣な雰囲気が、当の筒井康隆をはじめとしてジャーナリズム全体に広がってきた」ことへの嫌悪から書かれたという。 99.11.8
クリフォード・W・ビアーズ わが魂にあうまで 星和書店 1980.11.27 精神病院での実体験からその改革を推進した人の自伝。 99.11.8
W・ブラインホルスト われら北欧人 東海大学出版会 1986.9.25 辛口だがユーモア溢れ北欧人談義。 99.11.8
林望・福島 育児について 育児は何ごとにも代え難い楽しみである、との男女の対談。 99.11.13
佐藤賢一 王妃の離婚 新潮社 直木賞受賞作 99.11.13
茂木健一郎 心が脳を感じるとき 講談社 1999.7.27 心と脳の関係。 99.11.13
ナイジェル・バーリー 死のコスモロジー 凱風社 1998.9.25 ある文化の中で、死は、どのように取り扱われるのか。 99.11.13
ロバート・R・マキャモン 少年時代(上) 文芸春秋社 1995.3.15 12歳の少年コーリー・マッケンソンの瑞々しい心に映る父母、きょうだい、近所の人々、友達の姿。愛犬レベルとの交流。 99.11.13
司馬遼太郎 昭和という国家 NHK出版 1998.3.30 つまらない国、お粗末な国になった昭和という国家。その原因はどこにあるのか。 99.11.13
笠井潔 スキー的思考 光文社 1998.10.30 45歳にして、スキーを発見し、日本で一番スキーのうまい小説家をめざす著者が、それまでの人生を、超越体験のために身体性の技法を習得しようとする試行錯誤のプロセスであったと振り返り、このスキーという行為のなかに、超越体験をめざす身体性の技法を探求しようとする。本書は、中年スキーヤーが、こうした身体・超越体験・技術にまつわる感想を、スキーに触発されて書き記したもの。 99.11.13
杉浦日向子 杉浦日向子の江戸塾 PHP出版会 1997.9.4 NHKテレビの木曜日午後8時「お江戸でござる」に出演する、杉浦日向子の何と言えぬおかしみのある江戸談義を聞くとついつい彼女の著書に手が伸びてしまう。 99.11.13
アン・マクドナルド すっぱり東京 清水弘文堂書房 1999.7.20 カナダの才媛が、東京をすっぱりと切ってみせる。 99.11.13
松下竜一 底抜けビンボー暮らし 築摩書房 1996.9.25 大分で頑張る作家、松下竜一のビンボーだが、底抜けに明るく、心楽しい生活ぶりが描かれていて、読むと、ほのぼのした気持ちになってくる。 99.11.13
コリン・ウイルソン 知の果てへの旅 青土社 1996.10.20  あちこちの雑誌などに書いて忘れていた原稿や、書斎にほこりを被って放り出されていた原稿の山の中から、鋭敏な編集者が編み出してくれたというまえがきがある。いかにも、多作のコリン・ウイルソンらしい。今世紀の代表的思想や思想家についての、なかなかの論考集になっている。 99.11.13
木村和久 平成ノ歩キ方 小学館 1994.8.10 平成の巷を男と女は、どう歩いて、オイシイものにありつくのか。 99.11.13
ベリー・ゴーディー モータウン、わが愛と夢 TOKYO FM出版 1996.7.25 佐藤良明の「J-POP進化論」にも、この著者のことが出てくる。P.58ページ以下。テンプテーションズという黒人コーラス・グループが「所属していたのが、ベリー・ゴーディという黒人起業者の起こしたモータウンという名のレコード制作会社でした。スモーキー・ロビンソン、シュープリームス、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィ・ワンダーらを擁したヒット工房です。後のマイケル・ジャクソンもここから登場します。」
「ゴーディはワンマン社長で、お抱えのソングライターに注文を出し、レコーディングの時にはいつも立ち会って、専属ミュージシャンの演奏の仕方にも口を挟みました。以前にジャズの世界でならしたテクニシャンが、ちょっとカッコよすぎるテクに走ると、社長のチェックが入ったのです。『だめだ、だめだ、もっとシンプルにやれ』」
このゴーディが書いた自伝である。子供の頃から、プロのボクサーを経て、音楽を選ぶところまで読んだが、実に面白い。
99.11.13
マルコム・カウリー 八十路から眺めれば 草思社 1999.8.20 本当の老人と言えるのは、80歳になってからだ。80歳になって初めて見える老後というものの姿を、80翁が軽妙に描く。 99.11.13
風間賢二 いけない読書マニュアル 自由国民社 1994.5.10 わくわくするような本が、これでもかこれでもかというほどに出てくる。読んでいて飽きない読書案内。ところでこの350冊のうち、何冊読めることやら。しかし、紹介文を読むだけでも十分楽しい。 99.11.15
川村明宏 一冊10分の超速読術 日本文芸社 1993.3.15  読みたい本を見つけると、すぐ買い込んでしまう。その結果、本が見る見るたまる。もっと早く読む力をつけなければ、読み残した本の中に埋没しかねない。まあ、ものは試し、速読術が身に付けば見つけもの、という思いで、本書を買った。
 視力を強めること(そのためには眼筋を鍛えること)、音読を止めること、一挙に見える範囲を増やすことなど、かなり具体的な訓練コースが、設けられている。車の運転をしながら、音楽を聴いたり、隣の人と話したり出来る。こうした併行処理が可能なら、本も、訓練次第では、もっと早く正確に読めそうである。
 眼筋クイック運動にしても、視力に応じて一日の制限時間、目標値、回復時間などが細かに設定されている。少し、真面目に取り組んでみることにしよう。
99.11.15
平本紀久雄 イワシの自然誌 中央公論社 1996.7.25 最もありふれた魚、イワシ。子どもの頃はよく食べた。有明海の近くだったせいもあり、結構新鮮なものが手に入った。ショウガで煮て食べるのが一番ポピュラーだったように思う。
ありふれた魚だったイワシも近年、漁獲量が著しく減っているという。獲り過ぎも影響しているのだろう。栄養価も高く、注目を集めているイワシの生態をもう少し良く知りたい者である。
99.11.15
辻秀男 手術とからだ 中央公論社  今やからだのなかで手術のメスの届かないところはなく、メスが届きさえすればこれまで治せなかった病気も治せるようになってきた。こうして手術は欠かせない治療手段となったが、残念ながら手術そのものは、患者に有形無形の障害ー侵襲(ストレス)反応を引き起こす。副題に「神様は天の邪鬼」とあるように、むしろ、回復を妨げるような反応が起こるのだ。その反応のメカニズムを理解し、より安全な手術が行われなければならない。近年の研究成果が紹介されている。
 手術がどういう手順で行われるか。その現場に立ち会っているようで、興味深い。普通5人のチーム、すなわち主執刀医と二人の助手、麻酔医、看護婦で行われるらしい。しかも、手術も技量の差が大きく、巧い外科医になるためには、かつては、屍の山を築かなければならないといわれたという。麻酔医の巧拙も、手術医の体力差も影響する。などなど、本書を読めば、手術されることは大変なことだと言うことがよくわかるし、手術されると、平常に戻ることすらが大変で、急に体力が落ちたり、体質が変わったりするが、その理由もよくわかる。
99.11.15
氏家幹人 殿様と鼠小僧 中央公論社 1991.1.25 平戸藩藩主松浦静山の著「甲子夜話」の解説。江戸の情緒を伝える。 99.11.15
さくらももこ ももこのおもしろ健康手帳 幻冬社 1999.5.5 「さくら日和」と重なる部分あり。対話形式で少々安手の作りの感あり。粗製濫造は困るなあ。 99.11.15
池田あきこ 英国とアイルランドの田舎へ行こう (株)エム・ビー・シー 1998.3.20 猫のダヤンの住む架空の世界「わちふぃーるど」を舞台にした絵本作家の池田あきこが、「ダヤンのスケッチ紀行」と銘打ち、イギリスでは、コッツウォルズ地方や、コーンウォール地方、ヨークシャー地方、アイルランドでは南部地域へ、楽しい旅行を繰り広げる。毎ページ、カラーのスケッチがあり、これが楽しいし、文章も軽くて読みやすい。著者は好奇心旺盛だから、色んな所に鼻を突っ込む。思いがけない旅の発見、経験が次々に出てくる。わたしも、イギリスを二度、ドライブ旅行したが、あの時の楽しさを思い出した。
 絵本の作風から推して、当然出てきそうな話題が次々に出てくる。様々な妖精(ノッカー、ファニィなど)魔女・魔法使い(マーリン)、ケルテイックなもの、アーサー王伝説関連、不思議な石やストーンサークル、動物(猫、犬、アザラシ、羊、牛、馬、ポニー、鶏、ミヤマガラス、ペリカン)、植物(ヒース、フェザー、ゴース、家を抱きしめる樹)、珍しい建物、食べ物・飲み物、音楽・ダンス、ロビンフッド、ブロンテ等・・・こうしたものへのこだわりにも似た強い関心が伝わってくる。
 最後に、諸事情がまとめてある。旅全般、鉄道、ドライブ、B&B、食べ物、そして、最後の最後にスケッチ事情がある。旅で利用しやすい画材の紹介。私も絵が好きなので、これは便利だ。
99.11.23
森清 仕事術 岩波書店 1999.11.19 情報化時代における仕事術の基本は、「公私融合」であると、著者はいう。これまでのどうも公に重きを置きすぎ、私をないがしろにするような仕事のやり方は、電子化する社会にはふさわしくない。私なぞ、むかしから、公私融合に心がけていたので、我が意を得たりだ。私的側面の充実が会社にとって役に立たない訳がないし、私的側面の充実していなくては、逆に貢献もできまい。会社にのめり込み、バランスの欠けた判断で、不良債権の山を築いたのも結局は、公的側面だけにかまけた人が、会社の中枢を占めているせいであろう。
 ただ、前半の文章は、固くて読みづらい。もう少し、知性を感じさせるように書けないものか。
「いわく、自発性(イニシアチブ)。いわく、創造・応用能力。いわく、『使命・正義感に燃える頑張り屋』でない、リラックスの人。いわく、最低二カ国語ー何語でもよいが英語だけは絶対条件ーが母国語同様楽にこなせる人等々々」。これが、ボランティアの資格条件だという。こういう文章なら、知性が感じられる。が、残念ながら、犬養道子の『一億の地雷 ひとりの私』(岩波書店、1996年、80頁)からの引用である(48頁)。
99.11.25
李昌鎬 私の形勢判断 誠文堂新光社 どうも、この頃、碁に勝てない。負け方が悪い。要するに形勢判断が出来ずに、ただただ石を並べるだけ。戦い続けるだけ。終わってから、こんなに負けてましたか。これでは、勝てるわけがない。少し、形成判断出来るようになり、足りないと思えば、果敢に打ち込んでも行き、形勢が悪くないと思えば、簡明を期してまぎれない打ち方をする。
形勢判断に関しては、世界一の、したがって、世界一強い、棋士、李昌鎬のこの本を読み始めた。なるほど、こういう風に形勢判断をするのか。なかなか参考になる。
99.11.25
杉浦日向子 大江戸観光 築摩書房 1987.5.25 NHKテレビの木曜日午後8時「お江戸でござる」に出演する、杉浦日向子の何と言えぬおかしみのある江戸談義を聞くとついつい彼女の著書に手が伸びてしまう。 99.12.5
杉浦日向子 大江戸美味草紙 新潮社 1998.10.15 NHKテレビの木曜日午後8時「お江戸でござる」に出演する、杉浦日向子の何と言えぬおかしみのある江戸談義を聞くとついつい彼女の著書に手が伸びてしまう。 99.12.5
百瀬格 韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由 文芸春秋社 1998.4.10 原書は、韓国で出版されベストセラーになった。直言が受け入れられたのだ。著者は在韓国の長い日本人商社マン。 99.12.5
ヴィッキー・コブ 錯覚のはなし 東京図書 1989.11.20 人差し指と中指を交差させて鼻を摘むと鼻が二つあるように感じてしまう。これはギリシャ時代から知られていた。こんな錯覚について数多く紹介し、その理由を考察する。 99.12.5
佐藤良明 J−POP進化論 平凡社 1999.5.20 ヨナ抜きの音階でできた歌曲をついつい日本固有のものと思っていたのだが、そうではなく、和洋折衷の音階らしい。そのヨナ抜きは、モータウンの曲にも、アムロナミエの曲にも見られるという。現在のJーPOPが、これまでどう進化してきたのか。 99.12.5
L・M・モンゴメリ 時の果実 篠崎書林 1995.3.20 「赤毛のアン」の作家、モンゴメリの短編集。 99.12.5
東野圭吾 秘密 文芸春秋社 1998.9.10 設定がすっとぼけている。故郷信州の法事に妻娘がスキーバスに便乗して出かけるが思わざる大事故に遭遇する。谷底に転落し、23人もの人が死亡するのだ。妻は小学5年の娘をかばうようなかたちで全身にガラスの破片を突き刺され出血多量で死亡、娘は、まったくの無傷で奇跡的に助かるが、意識がなかなか戻らない。ところが、意識が戻ってみると、それは36歳の妻の意識だった、というのである。

その父と娘(妻を意識を持つ)の共同生活振りがストーリーの中心を占める。映画化もされ、ヒットした。小林薫と広末涼子が父と娘を演じた。昨年ある雑誌で、ミステリー年間第一位に選ばれた作品というのだが、ミステリーの幅がきわめて広くなったことの証左のような内容だ。
 このとぼけた設定が何とも言い難い哀愁と滑稽さを醸しだし、それほどはらはらどきどきするわけではないが、最後にはどうなるのだろうと、思わずページを捲り最後まで行ってしまう。妻の意識の間に本来の娘の意識が現れ始め、この同じ体に同居する母親と娘の関係、それに対する父親の夫的立場と父親的立場の入れ替わりなども、実にユーモアたっぷりに面白く描かれている。最後には、娘の意識が全面的に乗り替わったように、見えて・・・の巧みな語り口に読者は、胸をなで下ろす。

99.12.5
CLASSY モーツアルトから志ん朝まで 光文社 1999.4.25 三人一組の鼎談方式で、自分の好きな事に関してうんちくを傾ける。 99.12.5
桐野夏生 柔らかな頬 講談社 1999.4.15 一気に読んだ。この著者の作品は「OUT」に続いて二作目だが、主人公の造形のすばらしさと、密度の濃い文体と語り口、それに読者の予測をことごとく裏切るストーリー展開で、思いがけない方向にあれよあれよという間に連れていってしまうところに特徴がある。読む快感を味合わせるこつを知った作家なのだ。 99.12.5
ポール・オースター ルルオンザブリッジ 新潮社 1998.11.1 ポール・オースターが自ら映画化した映画の脚本。 99.12.8
久米邦武編 米欧回覧実記 二 岩波書店 1978.10.16 一はずいぶん前に買った。これはイギリスが中心。 99.12.8
犬養道子 アメリカン・アメリカン 文芸春秋社 1978.2.25 今もコソボに乗り込むなど、国際的に活躍する著者のアメリカ論。 99.12.8
犬養道子 男対女 中央公論社 1975.3.20 国際人犬養道子の女性論。 99.12.8
常磐新平 コラムで読むアメリカ 大和書房 1981.5.30 コラムからアメリカを見る。 99.12.8
ジーン・サラゼン サラゼン・ウエッジ 小池書院 1997.9.20  この本は、1950年、今から50年近くも前に書かれたのだが、今読んでも実に新鮮だ。著者はその後も生き続け、昨年だったか、96歳で亡くなった。日本では、ジーン・サラゼン・ジュン・クラシック・ゴルフ・トーナメントの大会名誉会長として、亡くなる直前まで毎年のように来日し、テレビでも、その丸く、愛嬌のある顔つき、独特のニッカポッカの服装、イタリア系らしい明るく、ユーモア溢れる語り口で、人気を博していた。もちろん、日本のゴルファーで、このグランド・スラマーを知らない人はいない。グランド・スラマーはこれまでわずか4人(ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレイヤー)しか出ておらず、しかも最初に成し遂げた人なのだ。
 そのサラゼンの自伝であるが、最初から最初まで面白く読めた。イタリアからの移民の子として生まれ、小学校だけの学歴で、キャディーからスタートして、偉大なプロゴルファーになるまでの道筋が、生き生きとユーモアたっぷりに描かれている。
 メジャー大会での72ホールや、プレイオフのエキストラの36ホールのプレイ振りが、手に取るように描写されており、思わず、息を呑んでしまう。1935年のマスターズで、逆転優勝につなげた、最終日15番ホールでのアルバトロス、4番ウッドでの235ヤードのセカンド・ショットは中でも圧巻だ。ここで先行するプレイヤーとの3打差を一気に縮め、翌日のプレイオフに持ち込んで勝つのだ。1932年の全米オープンでは最後の28ホールをなんとちょうど100ストローク(平均3.57)で、上がり前半でついた大差を逆転して勝ってしまう。こうした、名勝負がふんだんに織り込まれているので、手に汗を握ってしまうほどだ。サラゼンは、チャンピオンについて次のように言う。

「惜しくても負けることを続けると、良いプロだけどね、勝てないね、と言われるようになる。結局のところ、チャンピオンとは何なのか?チャンピオンは好機に立ち向かうチャンスをより多くする何かを持っている人間だ。テニスをフルセット戦って負ける。陸上競技で最後の10メートルで逆転される。ボクシングの最終ラウンドでの敗戦、そしてゴルフでいえば、1ストロークか2ストローク差で負けるプレイヤー達の何と多いことだろうか。チャンピオンとはその接戦で勝つ能力を持った男なのだ。」(p.204)
「トーナメントの最中の3フィート(約1メートル)の返しのパットは、たとえ入れることができたとしてもプレイヤーを疲れさせるものだ。」(p.251)というような言葉も、実際きわめて難しい戦いを勝ち取った人ならではの実感がこもっている。勝負の心理的なあや、駆け引き面でも面白い発言がいっぱい詰まっている。

 アマのための練習の仕方にまで言及されているので、その面からも役に立つ。

99.12.8
ベゴーニャ・ロペス 死がお待ちかね 文芸春秋社 1989.7.15 サントリー・ミステリー大賞受賞作 99.12.8
池沢夏樹 スティル・ライフ 中央公論社 1988.2.29 芥川賞受賞作。 99.12.8
佐藤愛子 なんでこうなるの 文芸春秋社 1998.9.10 おなじみ愛子節の老後編。 99.12.8
馳星周 不夜城 角川書店 1998.4.25 アジア人のうごめく新宿歌舞伎町が舞台。 99.12.8
趙治勲 地と模様を超えるもの 河出書房新社 1999.10.25 天下の囲碁名人・趙治勲の碁に関するエッセイである。
これまでの「地」とか「模様」、「厚い」「薄い」などといわれる通念に、趙治勲らしい別の見方・視点を示し、「地」を欲しがる人を無闇と軽んずる風潮のある囲碁ジャーナリズムの不勉強を叩いている。
国際棋戦で採用されている3時間という持ち時間制での碁と、棋聖戦、名人戦などの二日制で行われる、持ち時間8時間の碁とではまったく別の碁であって、自分は8時間制の碁を打っているのであって、3時間制の碁で負けても別にどうと言うことはないと言っている。確かに、質的に違うものに、思える。
 利益のでない、枝葉を考えない小林光一流と、くだらないことにも目の行く自分流を対比させ、それは人生論にも及ぶ。
 6歳で韓国から来日し、つねにみそっかす坊やで、一度も天狗少年の味を知らないことが、今日の自分の碁風を形成しているという。大模様を作れば、かならず先輩の少年に、荒らされてしまった幼児体験が、「地」という厚みに重きを置く碁風に繋がっており、天狗少年でありえた、武宮正樹とは違うというのだ。
確かに「地」を厚みと考える考え方は貴重で、実戦譜を示して、囲碁ジャーナリズムが、この一手という手に賛同できないいわれのものを披露しているが、十分説得的で、碁というものを考える上で、大いに得るところがあった。
99.12.17
J.K.ローリング ハリー・ポッターと賢者の石 静山社 1999.12.8 昨日、来日したアメリカ帰りの、義妹に聞くと、アメリカでも今もベストセラー中らしい。白鳥こぐまさんの、「こぐま図書館」というメルマガで、今年の収穫というので、早速書店で求め、読み始めた。冒頭から、巧みなイントロで読み始めたら、たちまち不思議な世界に誘い込んでしまう。 99.12.17