編集者のつれづれノート
Editor's Note


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(2000/3/1掲載)
水彩画について

 この時期になると毎年決まって、水彩画を描く。わたしの参加しているクラブの作品展が、三月の第一週に開催されることになっており、このところ毎年、三点ずつ出展している。作品名の登録が1月20日頃なので、全部はできあがっていないことがある。今年は、一枚も描き上げてなかった。そこで、作品1、2、3ということにし、大きさだけはF6で、登録した。

 絵を描くにあたって、最初に思案することは、題材である。何を描くかということだ。自分が撮った写真や、雑誌や、旅行に行った先の景色などを物色して、絵になるものをあれこれと、考える。気に入った題材というものは簡単に見つかるものではない。その結果、ぎりぎりまで筆が執れないことになる。

 今年は、まず、野辺山にスキーに行った際、デジタルカメラで撮った野辺山ハイランドスキー場の夕暮れを描いた。しかし、どうも気に入らない。冬の雪山であるからして、色彩が暗く、全体がどうも単調なのだ。

 次に描いたのが、沖縄の海である。これは、年賀状を差し上げた人からの返事に貰った絵はがきを元にしたもので、色を変え、絵はがきにはない赤い花々を配し、色で魅せることを狙って描いてみた。これはまずまずに仕上がり、作品1ということになった。

 次に描いたのが、リビエラのテラスである。これは、カレンダーの絵のごく一部を描いたものだ。まず、絵はがき大のものを描き、少し構図を変えて、F6大のものを水曜性の色鉛筆で描いてみた。うまく行きそうなので、最後に水彩絵の具で描いた。これだけ丁寧なプロセスを踏んだのでこれはすんなり、作品2に納まった。絵というものは習作をすると大概の場合、よくなるように思う。

 さて、最後の作品3をどうするか、これは相当迷った。しかし、作品の持ち込みの締め切りが2月29日であり、その直前にスキーに行く予定があって、作品を額に入れたうえで、スキーに行く前に会場に持ち込んでおこうとすれば、それほど時間的余裕はない。そこで、以前チロル地方に遊んだときの写真を元にして描きかけたのがあったので、それにしようかさんざん迷ったのだが、その絵は、背景をいきなり強い色で塗りすぎ、絵の具を剥がしたりしたので、色の出具合がいまいちで、どうもピンとこない。
そこで、アルバムをあれこれ物色したのだが、5年前スペインをドライブ旅行したときのアルバムのなかに、アルハンブラ宮殿の庭の写真があった。時は八月下旬、宮殿を背景に、庭にはさまざまな色の花が咲き、多くの噴水が盛んに水を吹き上げている光景である。これなら絵になる。ということで描きはじめた。

 これは、満足の行くものに仕上がり、妻には三枚のうちで一番気に入ったという。これが作品3になった。

 絵を描くプロセスでは、実際に筆をとって描く時間よりも、どういうものを題材にして描くかを決めるのに要する時間や、また、描き始めてからも、どういうふうに仕上げていくかを、絵を前にして考える時間のほうがよほど長い。F6の絵であっても少なくとも2メートル以上絵から離れて見、どういう風に仕上げていくかをあれやこれやと思案するのである。新しいものを書き加えたり、実物とは違う色を配したり、絵が全体としてバランスのとれたものになるように仕上げていくのだ。だから結構頭を使う。その分くたびれもする。

 私は絵の中にフレッシュな空気が流れているのが感じられるような、奥行きのある絵を描きたいといつも考えている。透明絵の具を使う水彩画は特にそれが重要なように思う。

 絵の最後の仕上げは、絵にあった額を選ぶ作業である。額次第で絵は生きも死にもする。2月20日の午後、新宿の伊勢丹デパートの近くにある世界堂に三枚の絵を持ち込み、実際に額に当ててみて、自分の狙ったような効果が出るかどうかを試した上で、注文した。もっとも売場は狭く、実際に額にはめて見るわけにはいかないので、最後は自分の勘を当てにするよりない。

 その日のうちに額入れが出来るというので、できあがるまでの時間、世界堂の中を歩き回って、画材をあれこれ買い込んだ。水彩画用には、F8の画用紙を買った。これまでは、F6止まりだったので、今年は、もうワンサイズ大きめのものにチャレンジしてみようというのである。それに30色も取れる大きなパレットを買い、マスキングとそれをはがすためのラバーも買った。

 それに、新しい事務所への通勤途上に書・日本画の老舗があったことから、2月の中旬に始めたばかりの日本画用の顔彩や画仙紙なども買い込んだ。顔彩は、その老舗で12色のものを買い込んで描いているのだが、同じシリーズもので36色セットのがあったので、それを買った。値引き率が高いので、12色セットの2倍強で36色セットが買えた。

 とにかく、この店には絵に必要なものはすべてそろっているようで、歩き回って見て回るだけでも楽しい。あっという間に、予定の時間になってしまった。

 額に入った絵は、思った通り、新鮮な空気が感じられるように仕上がっていたので、満足して帰路についた。

 さて、その作品を展示した作品展が、次の要領で開催されているので、時間に余裕のある方は足をお運びいただきたい。忙しい方はわたしホームページの水彩画ギャラリーの第五会場に展示していますので見て下さい。
                     
 

                   日本倶楽部会員作品展

       会期   平成12年3月2日(木)〜3日(金)
            午前10時〜午後6時
            (3月3日(金)は午後5時まで)

       会場   社団法人 日本倶楽部 大会議室
            千代田区丸の内3-1-1(国際ビル8F)
            電話(3211)2511(有楽町駅下車 帝国劇場と同じビルです。)

 最近始めた、日本画・俳画系の絵は、その他ギャラリーに掲載しておりますので、こちらもどうぞ。
 



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