読書の部屋・読書日記

2004年
1 月7日
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保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』  草思社 2003.10.30

保坂和志『世界を肯定 する哲学』 ちくま新書 2001

保坂和志『カンバセーション・ピース』  新潮社 2003



 昨日、保坂和志の『書きあぐねている人のための小説入門』 を読み終えた。
 同じ著者の『世界を肯定する哲学』が面白かったので昨年『カンバセーション・ピース』が発売されて間もなく入手して、読んだ。
 一つ一つの文章が長く、しかも、例えば庭木に水を撒く場面にしても、庭木の一本一本の描写、庭木にまつわる幼い日々からの思い出、家族親族友人知人にか らむエピソードなどを織り交ぜながら、延々と32ページも続くなど、いわゆるこれまでの小説とは大いに違った展開ながら、何気ない日常が次第に光を放ち、ずんずん面白くなって来て、かなりの大冊だが、終わりまで読ませる力は衰えず、読みながらも、面白いいい小説を読んでいるという充実感があった。

 そこで、その面白みの源泉を探る意味でこの『書きあぐねている人のための小説入門』を読んだのだが、これまた、通常の小説入門の類と違って、テクニック などを伝授するのではなく、小説とは何かということについて、徹底的に考えた本で、しかも、小説を書く人は、自分でこれまでにない小説を作り出していくよ りないと突き放しつつ、新しい小説を書くためのヒントを、実作者の立場から、いろいろと親身にアドバイスしてくれ、本当に小説を書きたい人にとっては、有 益な本である。

 その実践編が『カンバセーション・ピース』であることを思うと、あの本の面白さ、読ませる力が、小説とは人間に対する圧倒的な肯定であるとし、読んでいく過程そのものが野球の好試合を観戦しているときのように面白いものであるべきだとする作者の小説観が、見事に結実していることに舌を巻かされるのだ。



 


  


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