音楽の部屋

(2009/6/21掲載)

ツィメルマン・ピアノ・リサイタル

(2009/6/10於いて;サントリーホール)


今日(2009年6月10日)、サントリーホールで、ツィメルマン・ピアノ・リサイタル(午後7時開演)を聴いた。今や世界最高峰に達したツィメルマン・の演奏は、たとえようがないほど素晴らしかった。人間のなしうる最高のものがそこにはあった。ピアノの哲人と言われる人の演奏だけあって、よく考え抜かれたものが、メロディの展開にも、音色にも、音の強弱にも、曲目の構成にも感じられた。ピアノという楽器を自由自在に操り、その可能性をあますところなく引き出していた。演奏の間、音楽の宇宙に漂い続けていた。
頭が、精神が、本当にすっきりした。

演奏曲目は以下の通り。

J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
バツェヴィッチ:ピアノ・ソナタ第2番
シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10


興奮冷めやらぬ面持ちで外へ出て、目の前のレストランのテラスで赤ワインと生ハムで軽い食事をしていたら、当のツィメルマンが、背広に着替え、3
つほど向こうのテーブルのところに現れたのである。ファンらしい女性から、話しかけられている。がっしりとした体格だが、背丈は、わたしとさほど変わらない。舞台では、真っ白に見えた髪やあごひげが、少しごま塩に見えるがツィメルマンに間違いない。

わたしは素速く近づき、ツィメルマンですね。ええ、そうです。私は握手を求め、今日の演奏は実に素晴らしかった。実は35年前にワルシャワにいて、あなたがショパンコンクールで優勝するまでの予選の第1次ステージから、最後のリサイタルまで全部見たと言ったところ、まともに私の顔を見て、「そうですか」と言ってくれた。「今年も31年ぶりにワルシャワに行って…」と言いかけたら、お付きの女性が、食事の時間だとせかせるので、ほんの二言三言の会話で終わったが、ツィメルマンと握手し、ほんの少しにせよ、言葉を交わせたのだ。

今日は、本当に素晴らしい日になった。

参照:エッセイ:「ギドン・クレーメル讃」へ


 ポーランド
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から以下、ツメルマン関係部分を以下に引用
 

その年(1975年)のショパン・コンクールで優勝したのが弱冠一八歳のツィンマーマンである。わたしは第一次予選からピアノ協奏曲による最終審査まで幾度も足を運び、彼が久し振りにポーランドが産んだ有力な優勝候補として次第にのしあがっていくプロセスに立ちあった。

 最終審査当日、ツィンマーマンがショバンのピアノ協奏曲第一番をほぼ完璧にひき終え、事実上優勝を決めたときの聴衆の熱狂振りは大変なものだった。そのとき購入した実況録音盤を聞き返すとあの日の興奮が蘇ってくる。


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