僕の日記1955年
1955年11月6日日曜日 天気:晴れ起床:時分 就床時分 
 

11月6日日曜日 天気:晴れ

北野さんの家に招待された

この日記を見ても時というあまりにも未知なるものに対して、あまり早く過ぎすぎ る、現在がないという非難を書いている。時に現在がないといっても過言ではあるま い。それこそあらゆる光学器を用いても見ることのできないそれはそれは薄いヴェー ルに違いない。もう二ヶ月で今年も過去になってヴェールのかなたに葬り去られてし まう運命なのだ。ああ時は現在を持たぬ。あまりにも早く過ぎすぎる。

今日、北野さんの16回目の誕生祝に行ったが時があれほど偉大な体をもたらした。 偉大とあまり見事な形容ではないが、人間すべてがわずか一つの細胞から生まれたこ とを知ればあながち当てはまらぬこともないだろう。

また人は男女交際についてとやかく言う。私から見ればなんのことはない愚の骨頂の 言うことである。しかし、人間の欲望はつまらぬことに事件を巻き起こす。私は欲望 のない人間ではない。むしろ、他人より強いと思っている。

 

 

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