僕の日記1955年
1955年11月21日月曜日 天気:曇り雨 起床:7時30分 就床午前4時15分 
 

11月21日起床7時30分就床4時15分

今22日の午前4時10分。

鶏がしきりに時を告げる。ただ、その音と蛍光灯のぶー んという音ばかりが聞こえる。

ところで、日記というものは人に強制されて書くものではないのはもちろんである。 今このペンを執る前も、もう遅いんだ、日記を書かずに寝ようという気持ちが少なか らずあった。その気持ちは邪魔される必要はない。しかし、人から強制されない日記 を私は心で強制しようと思うんだ。

日記がどれほど未来において懐かしいものかを、私は夏休みの宿題として負わされた 中に幾たびか見出している。そして出来ることなら無理してでも書いたほうが、その 時のことを思い出して“あわれ”=しみじみしたおもむきを感じるのである。 そりゃ、私の目は疲れて涙さえ湧いてはいる。それで今日は英文日記は止めようと思 う。

今あんなことを言ってと言わないでくれ。私の英文日記の目的は英単語を覚える ことだ。今からでは覚えられないという屁理屈をひっつける。

なにしろ人間なんてものは口で偉そうなことを言ったって、か弱い意志の弱いものな んだ。強い言葉の陰にどれほどの躊躇が秘められているかを知るまい。憎げなる言葉 の裏にどれほど相手を抱合して余りある愛着心を持っているかを誰が知ろう。その人 自身も知るまい。いや?!

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