僕の日記1955年
1955年11月29日火曜日 天気:晴れ 起床:7時30分 就床:時分 
 

11月29日火曜日晴れ起床7:30就床

映画見学「新平家物語」、「湯島の白梅」、「盗賊王子」

人間はあまりにありふれたものを大切にすることを忘れる。空気、水等と、それにこ の言葉がそうである。口語と文語ではまったくそれは変わる。そして口語は一段と文 語に比べて、身近くありふれていて大衆化してしまっている。いまさら、昔の清少納 言の軽やかな問答は耳にできない。そして大衆の言葉は悪い方向に向かっているよう だ。いまさら言葉にリズムを求めるのは馬鹿すぎる。日本の言葉も一つの転換期を迎 えなくてはならない。文語と演説の言葉と大衆の言葉と、いやにぎこちない。 と日本と言う言葉をつかったが、それを考える前に私自身の言葉の改善を考えるべき であろう。まったく私は尊敬語を忘れ果てた田舎女中以上だ。一点でひびく鐘の音は 波となって四方に広がり、アンテナから広がる電波はすみずみまで届くのだ。まず私 から始めよう。ところで私の目的は日本人全部を教育しなおすなどの高きにはない。 自分に打克つ言葉を常にくちびるに持つことだ。

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