加藤一画伯の回顧展
◆(5月23日記す)このコーナーに以前にも書いたことのある加藤一画伯を、今日(2000/5/23)の日経朝刊の一面のコラム「春秋」が取り上げている。今年2月10日、40年住んだパリで75歳で亡くなった氏の回顧展がいま東京で開かれているらしい。見に行きたいものである。
春秋子は、パリの画伯のアトリエを訪れたことがあるらしい。そこは、吹き抜けの天井から明るい外光が注ぎ、競技用の自転車と模型飛行機が飾られ、若い日の夢が溢れていたという。このコラムによると、画伯は、伝説のパトロン薩摩治郎八との出会いがきっかけで、競輪から美術に転向したのだという。パリの日本館に住んで、まったくの徒手空拳で画家修業を始めたらしい。
「風に描く 自転車と絵画」のあとがきで紹介されている、東京での展覧会のために描いた巨大な絵は、今回の回顧展に展示されているのだろうか。
◆(5月26日記す)昨日、その回顧展に行ってきた。行った甲斐はあった。風をテーマにした抽象画が9点ばかりの小さな催しだったが、絵は、落ち着いて色彩のリズム感あるもので、捨てがたい味があった。
日経のイベントを担当している部署にインターネットのメールで照会したら、場所と電話番号を教えて貰えた。25日が最終日ということなので、地下鉄とJRとバスを乗り継いで、白金台4丁目にある会場に、終了一時間前に駆けつけたのだ。絵の他に、競輪用の自転車、画伯が作った小型の模型飛行機、スケッチブック、記念写真などが展示されていた。また、OHCで加藤一画伯のインタビューやパリでも生活、生い立ちなどをまとめたものが、無声で上映されていた。
絵は、それほど大きなものはなく、精々3×2メートル程度のものが一番大きい。波打つような曲線が互いに絡みあい、ねじれあい、そこに作り出される様々な形に色が塗られ、風の動感と感触とを醸し出している。多くの競輪選手が描かれ、彼らが感じる風をテーマにしたものもあった。小さな平筆で筆の痕跡を残さないように丁寧に塗られており、これがある種の落ち着きを与えている。
OHC で上演されている映像の最後に日本でのパーティの模様が紹介されている。あれが、「風に描く」の中で書かれていた東京での展覧会のときの映像なのであろうか。その時のために準備された12メートル×2メートルの絵は、カタログによると、文芸春秋社のロビーを飾っているらしい。文芸春秋社もそれほど遠くない。そのうち、見に行くことにしよう。
(2000.5.26記)