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チビクロの冒険(小説)
黒い子犬「チビクロ」が、大活躍します。小学生から大人までお愉しみいただけます。パソコンお持ちの方はこちらへ(http://www.akybe.net/works/chibikuro/chibikuro.html)
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ポーランドへ

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  ポーランドへ出発する日の前の日、ご主人は、ぼくを犬小屋ごと通りの向こう側にある、ご主人の両親の家に預けに行きました。 

「母さん、チビクロはお風呂が好きなんですよ。申し訳ありませんが、週に三回はお風呂に入れてよくブラッシングしてやって下さい。それに、お豆腐にカツオブシをまぶしたのが大好物なんですよ。豆腐もカツオブシも高くなりましたが、たまにはご馳走してやってくださいね」 

 ご主人は、ぼくの頭をなでながら、お母さんに頼んでいます。

「お前に言われなくたって、チビクロのことなら、わたしゃ何だってよく知っていますよ。生まれたときからの長いつきあいだもの、ねぇチビクロ。ほら、今日からここがお前のおうちだよ。引っ越しのお祝いにちゃんとお豆腐にたっぷりカツオブシをまぶしたのを用意しときましたよ。ミコちゃんもひろしくんも遠い遠いところへ行っちまんじゃ、おばあちゃんさびしいですからね。これからはお前だけが頼りだよ、わかったわね、チビクロ」 

 ご主人のお母さん、つまりミコちゃんとひろしくんのおばあちゃんは、ぼくを膝の上に抱き上げ、ぼくのほっぺにチュッとキスしました。ぼくは、お返しに長い舌を出しておばあちゃんのほっぺたをペロリとなめてあげました。梅干しばあさんなんて近所の子供たちが悪口を言っていますが、決して梅干しの味はしませんでした。いつだったか、ひろしくんが転んで泣き出したとき、涙でいっぱいのほっぺたをなめてあげたことがありましたが、そのときの味にそっくりでした。 

 奥から真っ白い八の字髭を生やした、ご主人のお父さん、つまりミコちゃんたちのおじいちゃんも出てきて、 

「ほ、チビクロ来たか。今日から、わしらが可愛がってやるからな。明日は空港までわしらと一緒に見送りに行くかね?」 

と、髭をしごきながら言いました。 

「クーン、クーン」

ぼくは一生懸命に尻尾を振りました。 

「よし、よし、わかったわかった」 

おじいちゃんは目を細めました。そしてぼくの目を覗き込むようにして言いました。 

「明日、お前たちがポーランドへ行ってしまうのも知らず嬉しそうに尻尾を振っておるが、チビクロも不憫なやつじゃ」 

 このおじいちゃんが、これでも人間の世界では有名な心理学者というのですから、ぼくには理解できかねます。
 
  (続く)
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