編集者のつれづれノート
Editor's Note
(since FEBURUARY13,1999)


Home


(2000/8/29掲載)

「恐れ入りました」タイガー・ウッズ様、全米プロに引き続き世界選手権をも連覇 


「恐れ入りました」という言葉はこういう時のためにあるのだろう。タイガー・ウッズの前に、全男子プロゴルファーも、ゴルフ関係者も、ファンも、深々と頭を下げなければなるまい。
 タイガー・ウッズが先週の全米プロゴルフ選手権に引き続きNEC招待の男子プロゴルフ世界選手権でも勝ってしまった(8月27日)。全米プロの時は、プレーオフの末の辛勝だったが、この世界選手権では、21アンダーで、二位に11打差をつけての圧勝。21アンダーは、会場となったファイア・ストーン・カントリークラブの72ホールのコースレコードを3打更新したもの(これまでは、オラサバルが10年前に作った18アンダーが記録だった)。
 とどまるところを知らない快進撃で、次々に新記録を打ち出すこの24歳に、「恐れ入りました」以外に言う言葉がない。

 先週の全米プロ選手権では、全米オープン、全英オープンに続いて、連続して今期メジャー3勝目を飾り、これも、記録尽くめの勝利だった。年間メジャー3勝は、ベン・ホーガン以来、47年ぶり史上二人目、全米プロ連覇は、マッチ・プレー方式で行われてい1936、37年のデニー・シュート以来63年ぶり。18アンダーは、全米プロ選手権の新記録。これで、四つのメジャーの最小スコア記録保持者となった。24歳でのメジャー5勝も最年少記録。
 この試合は、ウッズが最高のゲームだったというほどの、接戦だった。最終日、最終組は、12アンダーでトップの座を初日からキープしているウッズと11アンダーのボブ・メイ。ツアー未勝利で与しやすしと見られた、同郷の先輩で幼なじみでもあるメイが、この日神懸かり的な力を発揮し、難しいバーディパットを次々に決め、当初の一打差を逆転して、ウッズを常にリードするという、よもやの展開。ウッズは、一時2打差あったのを、17ホールでバーディパットを決め、ようやくメイに追いついたのも束の間、最終18ホールでも、メイが先にカラーから6メートルもの長いバーディパットを決め、ついに18アンダー。ウッズは残り2メートルのバーディパットを決めなければ負けというシチュエーションに追い込まれた。しかし、そこは、ウッズ、そのパットを確実に沈め、3ホールのストロークプレーによるプレイオフに持ち込んだ。しかも、プレイオフ最初のホールで、長いパットをねじ込んでバーディを奪い、結局、このバーディが効いて、プレイ・オフを制したのだった。

 世界選手権の最終日は、ウッズは、二位に9台差をつけてのスタートだったが、一番ホールのグリーンにボールを乗せた時点で雷雨により、3時間もプレイが中断した。プレイ再開後、同じ組みで回ったハル・サットンは一番、二番、五番と立て続けにバーディを奪い、1時は5打差に詰め寄った(?)が、終わってみれば、二位との差が11打差にもなっていた。このファイア・ストーンccの18ホールのコースレコードが、ウッズ自らも2日目に記録した9アンダーであるから、いかに二位以下が頑張ってみても、せいぜいタイ・スコアに持ち込まれるのが関の山と、タイガーは落ち着いたもの、一向に動じない。しかも、最終日トップでスターとして、これまで15戦で一度しか負けたことがない実績を持ち、ゴルフとはどういうものであるかをとことん知り尽くしているタイガーは、前半はあわてず騒がず、グリーンの中央にオンする事だけに専念するような、淡々としたプレーを続け、後半に入って12、14、18ホールとバーディを重ね、スコアを21アンダーまでのばし、2位との差を、スタート時点より逆に3つも拡げてしまった。この21アンダーは、ウッズのプロとしての最小スコアでもある。
 21は、キャディのステイビー・ウイリアムズが特に好きな数で、18ホール目のテイグランドで濡れたグラブを替えたときに、グラブに21と書き、是非21アンダーで上がって欲しい頼むので、何とかやり遂げたんだ、とウッズは試合後語っている。「スティビーは、21アンダーに僕がメジャーに勝ったときより喜んだよ」。
 追い上げの1番手と自ら任じ、3月に行われた世界選手権で、最終日にウッズに競り勝った実績のあるハル・サットンは積極果敢にプレイしたが、後半3連続ボギーを叩くなど最後は脱落してしまい、2位の座まで開け渡してしまった(4位タイ)。攻めざるを得なかったのだからやむを得ないにしても、改めて、タイガー・ウッズの勝負強さを見せつけられた思いだっただろう。

 雷雨で3時間も中断した影響で、最終18ホールのミドルコースでは、もう手元も見えないぐらい薄暗くなっていた。その中でウッズは第2打をピン横30センチにぴたりとつけ、グリーン周辺を埋めつくした観衆が、ロック・コンサートよろしく片手にライターの灯をともしてくれる中で、易々バーディを奪う。
 ウッズによれば、「自分自身、全ホール終了できて驚いている。中断後フェアウエイに出たときには、せいぜい13ホールまで回れればいいと思った」、「18番グリーンに向けて球を打ったが、飛び出したら後は何も見えなくなって、観客の声を聞いて、そのショットがどんなに良かったかわかったのさ」「選手側にプレーを翌日に持ち越すかどうかの選択権があったが、僕のリードの状況から、みんな終了したかったのだろう。」ということである。
 さもありなん。ウッズ相手では、7打差をバックナインで逆転されることはあり得ても、10打近くも開いていたのでは、たとえ18ホールあっても、やりがいがないだろう。

 ウッズは、これで今季8勝目、2年連続の8勝は、1944年、45年のバイロン・ネルソン以来。これでまた1億ドルの賞金を稼ぎ、史上最高額を更新している今期の獲得賞金を、約7,690,000ドル(約820,000,000円)に伸ばした。二位にはジャスティン・レナード(米)とフィリップ・プライス(英)が入った。
 このプライスだが、世界ランク75位で、アメリカでのプレイも初めてというウエールズ人。これまでポルトガル・オープンで優勝した実績があるだけ。しかし、この日は、よく頑張って、薄闇の中で、最後の4ホールで3ボギーを叩いたが、二位タイで437,500ドルを稼いだ。これは自分にとっては優勝に等しいと、プライスは、試合がサスペンドにならなかったことも、気にしていない。

ウッズは、これで、ツアー23勝。1975年のジョニー・ミラー以来初めて年間3つのタイトルの防衛に成功(メモリアル、全米プロ、NEC招待)。
最近の7試合で5勝。今期16戦で8勝。20試合で12勝。26試合で15勝(勝率57.7%)。世界選手権5試合で3勝。4つ連続してトーナメントレコードで、優勝。35ラウンド連続パーまたはアンダーパーを続けており、今期64ラウンドして、オーバーパーは4ラウンドのみ。
257がPGAの最小レコードだというが、(1955年Miike Soushakがテキサス・オープンで記録)早晩、この記録もウッズに書き換えられるかも知れない。

 ウッズがNEC招待を制した日、「女ウッズ」といわれるオーストラリアのカリー・ウエッブ(25歳)が、オールズモビル・クラシックを23アンダーの好スコアで制し、今期6勝目、ツアー23勝目を記録した。今期17戦で6勝(昨年も6勝)。彼女もツアー年間賞金獲得額の新記録を作る快進撃を続けている。96年にプロ入りした24歳と95年にプロ入りした25歳の、若く、強すぎる二人に、ゴルフ界は席巻されている。しかし、ゴルフ界は、二人に追いつくべく練習することによって確実にレベルを上げるに違いない。


編集者のつれづれノートindexへ
Back
Next